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勝ち残る会社の人事戦略【3】

(5)パフォーマンスを発揮する2つの要因
古典的な心理学に、「動機付け・衛生理論」という考え方があります。その理論に依ると、「不満の要因をいくら取り除いても、満足感を高めることはできないので、モチベーションを高め、パフォーマンスを高めるためには、「動機付け要因」にアプローチしなければならない」とされています。

動機付け要因として、「達成」、「承認」、「仕事そのもの」、「責任」、「昇格」などが挙げらています。一方「人間関係」、「労働条件」、「賃金」、「個人の生活」等は衛生要因とされています。衛生要因を改善しても、あまりパフォーマンスは上がらず、目に見えるような効果が上がらないのは事実です。しかし、衛生要因が満たされない状態では、様々な不都合な問題が起こるのも事実です。

働き方改革この20年を振り返ると、多くの企業で「動機付け要因」を優先させて、「衛生要因」を後回ししてきた感があります。「社員の代わりは幾らでもいる!」状態だったです。その結果2010年頃に業績的に優良企業と言われていたにも関わらず、過酷な長時間労働が故に「ブラック企業?」と風評が挙がった2つ企業があります。

その後の対応で明暗を分けました。そのうちの1社の大手アパレル会社では、批判を受けて、残業削減などの働き方の改革をおこなって、今ではブラック企業云々の風評はあまり聞かれなくなりました。もう1社は大手の飲食会社です。この企業は、壮大な理念を掲げて、会社の労働観を社員に強要し続けて、抜本的な働き方改革が遅れてしまいました。

その結果、社員のモラルの低下により事業不振に陥り挙句の果てに不幸な事故までおこり、事業の縮小せざるを得なくなりました。社員から選ばれなくなった会社には、明るい未来はないのは間違いのない事実のようです。

1億総活躍社会と言う聞こえがいいですが、言葉を変えると、全ての人が働かなくてはいけない社会を作ろうという動きです。そうなると、男性の子育てや家事など本当にワークライフバランスを考えなければいけません。そのような生活の働き方改革を推し進める社員から選ばれる会社になるためには、まずは、適正な労働時間を実現させる必要があります。勿論、会社にはいろいろな事情があるのでしょうが改善の余地は小さくありません。

勿論働き方改革を進めるに際して人事制度は補助的なものにすぎません。業務改善と幹部の意識改革が必要です。現在の幹部はすべてを仕事のために捧げて、私生活を犠牲にして業績を上げてきた人が大多数です。ですから、休みも取らず、長時間働くことが当たり前になっています。幹部の意識改革から始める必要があります。

業績目標と同じくらいの重要な目標として、労働条件の改善目標を位置づけていくことが、今後も成長し続ける企業の条件になってくると思います。最低限のラインとして、年間休日104日 月残業時間45時間以内、有給消化率20%は実現させたいところです。

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山田 公一
株式会社船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント
大手化粧品会社で、11年にわたり営業、販売スタッフ及び小売店指導に従事し、2001年 船井総合研究所に入社以来、「利益=社員数×生産性」の方程式を信条として、やりがい の持てる人事(評価・賃金)制度の構築及び運用の支援、管理職研修をおこなっている。 著書に「やさしくわかるお店の数字」(日本実業出版社)「パートアルバイト採用戦力化・定着マニュアル」(同文館出版)