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勝ち残る会社の人事戦略【1】

(1)「売上=社員数×1人当りの生産性」
一般的なマーケティングの売上方程式では「客数×客単価」となりますが、インターナルマーケティングの考え方では、「売上=社員数×1人当りの生産性」となります。インターナルマーケティングとは、社員を「顧客」のように考えることにより、会社への忠誠心と仕事に誇りを持った社員を通して、高いパフォーマンスを実現し、最終的に会社の利益につなげる様々な取組のことです。

一般的なマーケティングでは、社会情勢の変化や、ターゲット顧客のニーズ変化に対応して、商品・価格・売り方を変えながら最適を追及していきます。対してインターナルマーケティングとは、内部である働き手の意識変化や労働環境の変化に対応して、社員の採用、定着そして最大のパフォーマンスを発揮してもらう仕組みをつくることにあります。合わせて労働法規に対応していく必要も出てきます。

インターナルマーケティングの考え方では、「売上=社員数×1人当りの生産性」となります。つまり、優秀な社員が何人いるかで業績は決まると言う考え方です。勿論、優秀な人材がたくさんいても、「儲かるビジネスモデル」でなければ生産性は上がらず人件費が増えて経営を圧迫するだけなのですが、そもそも「儲かるビジネスモデル」を構築していくのも優秀な人材にほかならないのですから、優秀な人材が業績を決めるという考え方はほぼ全ての会社にあてはまることです。

しかし、実際は多くの会社で、人材が確保できていないのが現実です。ここに来て、この「インターナルマーケティング」の考えは、補完的なものではなく、企業存続を決めるうえで決定的な要素となってきました。業種業態を問わず、人材不足は深刻な問題となっています。特に若い世代の不足は深刻です。これは一時的な現象ではなくこれからも加速していきます。

国立社会保障・人口問題研究所のデータによると2010年~2025年までの15年の間に、個人消費を起こす全人口が約5%減少するのに対して、多くの会社で求められている20歳~44歳の若い労働力人口は約23%も減少すると予測が出ています。労働市場における若年層の需給バランスは完全に逆転したのです。ですから優秀な人材どころか「人手」も不足していきます。

(2)普通の人さえ採れない時代
人事担当者から「当社では、優秀な人財を求めているのではありません。普通の人でいいのです。贅沢は言っていないのですが…それでも人が採れないのです。…」との悲鳴なような嘆きを耳にします。総数が減っているのに輪をかけて、「優秀な人」と「残念な人」の二極化が進み、多くの会社で求めているような「普通の人」も減っているのです。

そのような状況の下で、欲しい人材が採用し、しっかり定着させている企業の採用活動を見ていると、やるべきことがよくわかります。採用活動を「社員を選ぶ(品定め)する場」ではなく、「会社を魅せる場」としてのスタンスに立っているのです。逆に、今まで同じ感覚で、数少ない優秀な人材を見極めて採ろうとしている会社のほとんどは上手くいっていません。当然、会社が欲しくなるような人材はそもそも近くに寄ってこないのです。

しかも折角、優秀な人材またはその資質がある人材を採用しても、残りません。会社における優秀な人材には共通の資質があります。将来の目標(夢)を持っており、その目標を実現させるための努力ができることです。当然のことですが、将来の目標(夢)は会社に依ったものではありません。まさにワークライフバランスのとれた人生設計です。

この特性が会社にとって仇になることがあります。目標(夢)が実現できると思えるから努力をするのですから、目標が実現できないと見切りをつけしまえば、実現できる場所を求めて会社を辞めてしまいます。人材は引く手数多なのですから活躍のいくらでもあるのです。仮に会社に残ったとしても、目標(夢)を諦めてしまったら、既に優秀な人材とは終えず、目の前の損得だけを考えて楽な方へ流されているような、会社から見て残念な人になっています。

そこで優秀な人材が、入っている。辞めない。そして最高のパフォーマンスを発揮する会社にするための、働き方革命及び人事マネジメント体制を築いていく必要があるのです。

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山田 公一
株式会社船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント
大手化粧品会社で、11年にわたり営業、販売スタッフ及び小売店指導に従事し、2001年 船井総合研究所に入社以来、「利益=社員数×生産性」の方程式を信条として、やりがい の持てる人事(評価・賃金)制度の構築及び運用の支援、管理職研修をおこなっている。 著書に「やさしくわかるお店の数字」(日本実業出版社)「パートアルバイト採用戦力化・定着マニュアル」(同文館出版)