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自発的な組織づくり ~組織と人を活性化するインナーコミュニケーションのあり方~

■ イノベーションが起こらない!

先日、ある大手企業の経営企画室の方とお話をしていると、自社の新規事業立ち上げのご相談を頂きました。

現在の国内市況を考えると、新たな事業を起こし、これまで自社では捉え切れなかった市場に打って出ることが会社としての大きな課題になっているというお話でした。

その為に、新規事業開発室の精鋭部隊による新規事業の検討だけでなく、経営企画室の方を筆頭に社内から広くビジネスアイデアを募集しているとのことでした。しかし、なかなか良いアイデアが挙がってこないことが大きな課題だとおっしゃっています。実際、今年も書類選考を通る企画はなかったそうです。

「社員が1万人以上いるのに情けない限りです」と担当者は深いため息。

このような悩みを持たれている企業は多いのではないでしょうか。

実際、ここ数年、弊社にも新規事業の立案段階でのご相談を数多く頂きます。新規事業に限ったことではなく、社内で新たな取り組みが根付かないといったお話も良くお伺いします。

国内市場が成熟期を向かえている今、企業は大きな変革が求められています。しかし、どうすれば、企業は新たな活路を見出し、これからの時代にあった形で変革していくことができるのでしょうか?

今回は現場からのイノベーションを考えてみます。

■イノベーションを生む背景

新規事業の社内公募制度について、いくつかの企業でお話を聞いてみると、実はどこの企業も大きな差がある訳ではないことがわかります。

公募の基準、支援内容(許容される資金額等)に多少の大なり、小なりはあれども、「この制度があれば確かに良いアイデアが生まれますね!」だったり、「この制度があれば確かに多くのアイデアが集まってきますね!」という画期的な制度というものは存在していないのです。

それでも社内からの新規事業が得意な企業とそうでない企業が存在します。制度が同じだとすると、その制度を使う側の社員に違いがあると考えられます。

例えば・・・
新たなことにチャレンジするような状態にありますか?
各階層が自ら考えて行動する状態にありますか?
各社員が自ら考えることは会社全体の方向性と一致していますか?

皆様の会社・部署はどうでしょうか?

こうしたチャレンジャブルな風土、新たなことに向かっていく風土は、言われて一朝一夕にできるものではない。普段からそのことに気をつけているか。日常の思考パターン、判断基準として根付いているかが重要になる。普段から考えているからこそ、より洗練されたアイデアが生まれてくる。そして、普段から会社のあり方やその会社の一員としてのあり方を意識しているからこそ、出てくる方策が会社の求めることを実現する為のものになってくる。

イノベーションをうむ為には会社の風土が大きく影響している(実はトップの覚悟と姿勢と切っても切り離せないが、この話は別の機会にさせて頂こう)

■ “良い社風”を作る

”社風”に関するご相談も多くいただきます。例えば、従業員の考え方を変えたい、クレドを作りたい、優秀なリーダーを育てたい、新入社員を一人前にしたい等、すべては社風に通じています。

本来、その会社の社風というのは自然と培われるものです。しかし、市場が飽和していき、大きく変化を求められ、これまでのやり方が通用しなくなっている今、能動的に作り出して行く必要を感じている会社が年々増えています。そして、そこで行動指針やクレドなどを作っては、どうも浸透しないという話も事実です。

では、社風を能動的に作って行く為に必要なこととは何でしょうか?良い社風の中身はその会社それぞれだと思いますが、ここでは望む社風の定着の為に必要な要件をお伝えします。

■ 言葉の定義にこだわる

社員としての望ましい行動を浸透させる為には、とにかく言葉にする必要があります。クレドや行動指針はまさに社風を言語化したものです。

しかし、ここで気をつけていただきたいことがあります。
それは「その言葉の意味をみんなが共有しているのか?」ということです。

様々な企業を訪問していると、部下と上司で使っている言葉は同じですが、意味していることが微妙にずれているなという場面に出くわすことがあります。

船井総研の例を挙げると、創業者の言葉に「すなお」「勉強好き」「プラス発想」という言葉があります。これらの3つは船井総研にて成功の三条件と言われ、行動原則の最も重要な要素になっています。

しかし、「すなお」という言葉はやっかいです。

船井総研の上司は「すなおであれ」と部下に伝えますが、このすなおを「他人の言うことは何でも聞くように」という意味であると勘違いする新入社員います。

実際に、船井総研において「すなお」とは、「自分がいいと思ったことは即取り入れて行動し、自分が悪いと思ったことは即やめる」という意味で使われています。

このように、上司と部下で同じ言葉を使いながら意味するところが違うと思わぬ誤解やミスを招く恐れがでてきます。

(例えば、「計画を作れ」といった時に「どこまで作れば計画を作ったことになるのか」、果たしてあなたと部下の中で合意はできているでしょうか?)

世の中の”上司”の方で、どうも部下が思った通りのパフォーマンスを出さないなと思っている方はまずこの言葉の定義の違いを疑ってみることをおすすめします。

言葉を定義するということは、お互いに言葉の一体感にどこまでこだわることができるかが非常に重要です。

■ 言葉の頻度にこだわる

言葉の定義がしっかりと決まり、「わが社では○○といえば、○○の事を指す」と決まったとします。次に大事なのがその言葉を使用する頻度です。

自社らしさを表す言葉があったとしても、使われないのでは浸透も実行もはじまりません。自社の日常業務の中で出てくるような言葉を使うことが大切になる。流行っている言葉や新しく提唱された言葉は使いたくなってしまうものだが、こうした言葉はインパクトがあっても、普段使いになじみがない為、日常で使われず、真に意味するところも社員の間で共有できないことがあるためです。

例えば、「顧客満足度」という言葉はどうでしょうか?顧客満足度と掲げるも、顧客満足が明確に定義できていない企業様は多くあります。

船井総研では、「長所進展」や「過去オール善」、「一番主義」といった仕事に対するあり方に関する言葉が行動指針にもありますが、これらの言葉はコンサルティングの現場や同僚とのコミュニケーションの場で頻繁に登場します。もし、これらの言葉が日常業務で登場しないようなものであれば、同じ意味、内容であったとしてもここまで浸透はしなかったはずです。

■行動の判断基準になっているか

社員に浸透させるべきことは、”行動”ではなく”判断基準”を中心おいて考えていただきたいのです。”行動”ではなく”判断基準”というのは、“これをしなさい”ということではなく、”このように考えよう”という考え方をそろえるということです。清掃を例にすると、”このような手順でこのように掃除しましょう”ということを徹底するのではなく、”わが社にとって綺麗な状態というのはこういう状態です”という綺麗な状態の判断基準を伝えて行くことになります。

人間は判断の積み重ねで行動を選択していきます。自発的に動ける柔軟で強い組織を作る為には、”同じ行動をする”ではなく、”同じように判断する”状態を作ることが大切です。

同じ行動をする組織では画一的で変化に対応できないからです。また、行動を縛るのではなく、判断基準と裁量権を与えるからこそ、社員のモチベーションはあがっていくでしょう。

それがあるからこそ、社内でイノベーションが起こる環境ができるのです。

いかがでしたでしょうか。
書いてみれば、当たり前のことではありますが、是非、社員とのコミュニケーション、部下とのコミュニケーションの「言葉の定義」を明確にし、活性する組織づくりに活かしてください。