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現場におけるPDCAマネジメント

現場コンサルティングにおきまして、プロセスマネジメントの導入・展開が最近ではホットなテーマになりつつあります。

管理者と部下のPDCAサイクルを同期させていくためのプロセスマネジメントはPDCAサイクルの善循環を容易にするアプローチの1つと言えるでしょう。

P(計画)に対してC(中間指標=KPI)を設定し、D(活動の問題点)を把握していくことで、A(活動是正)を展開し、初期に設定したPのゴールを達成していくことが基本になっています。

ゴールに到達するための道を変更してはいきますが、途中で何度も地図や方位磁石を確認しながら、場合によっては道を変えていくことをあらかじめ想定範囲に入れておくことが必要なのです。道を理解するものが地図とするならば、ポジションを確認するものが方位磁石になりますね。どちらに向かうべきなのかという意思決定をするためのツールが方位磁石ということになります。

PDCAサイクル上ではチェック指標(KPI)が意思決定ツールの役割を担っています。マネジメント上では、管理者と部下がお互いにチェックの視点を共有化していくことで、部下の活動内容は変化していきますし、価値観の共有化も進めていくことが可能になります。このことから、KPIをどのように設定するかが計画全体の成否を決めると言われています。

意思決定をするための道具としてKPIを利用するということになると、複数の指標を作る方が安全であることは言うまでもありません。KPI(Key Performance Indicator)は、本来モニタリングするための指標の一つで、「どのレベルで達成するか」を定量的に測定するためのものです。

達成すべき売上高や利益といった財務関連の成果を実現することがKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)とすると、KPIはそのゴールのための中間目標という位置づけになり、例えば新規顧客訪問件数・獲得数や営業マン1人当たりの提案件数、契約件数といった業務上のパフォーマンスをモニタリングしていくための役割を担っています。これによって部下の問題解決型のマネジメントが容易になります。

古いタイプの管理職は、問題解決型アプローチではなく、結果に重点を置いてマネジメントしているケースが多かったと言えるでしょう。

PDCAサイクルに対する意識はありましたが、プロセスのインプットが結果に対するチェック(C=実績分析・評価)であり、結果に対する反省をベースとしてアクションの変更指示(A=対処療法)をするスタイルが中心になっていました。

過去のマネジメントスタイルでは、結果分析やそのための情報集約に大量の時間を投入しており、結果的にはデスクワークが中心になっていました。

販売系の会社では、月次の実績管理がほとんどで、月末近くになると責任者の表情が暗くなったり、社員に対して詰問する姿がよく見られました。すでに結果が固まっている段階で詰問されても、対処のしようがありませんね。意欲の高い社員であれば、翌月の取り組みに活かすことも可能ですが、該当月においては是正不能であることは自明の理と言えます。

このような場合には詰問された社員は弁解するしかなく、結果的に「言い訳の達人」を育成しているだけのマネジメントになってしまうことがよくあります。環境的に厳しい昨今においては、終わってから考えるというスタイルでは、成果が上げられなくなってきています。

今、要求されているのは、計画を立案し、その実行過程をあらかじめ設定した中間指標であるKPIでマネジメントし、活動内容を是正しながら初期設定のビジネスゴールへ到達していくためのマネジメントを展開していくべきなのです。このような考え方がプロセスマネジメントの原点であり、これを展開していくに当たっては管理者に対する負担は非常に大きいものになります。

なぜならば、プロセスに対するフィードバックをすると言うことは、細かな業務に精通していなければならず、同時に部下に対する指示内容がマンネリ化しないようにしていくことが要求されるからなのです。

全ての枝葉末節業務に対して、最新情報をベースとしたフィードバックを続けることは、ほとんどの場合不可能ですね。現場の大まかな動きは変化していなくても、細かい対応に関しては日々変化していきます。いくら優秀な管理者であっても、それを全て理解・認識して業務を遂行していくためには、プレイヤーとしての実務をやり続けるしかなくなります。

プレイングマネージャーという立場は、当然ながら自分の達成目標があり、自分自身のクライアントに対して日常業務処理をしていくために、部下に割ける時間が激減します。本来の管理者に期待されているのは、部下を通じて成果を上げることですから、本末転倒になってしまいます。

このような状況を回避していくためには、部下に気づきを上手に与えていく技術が必要になります。コーチングという考え方は、ある部分、この負担を軽減していくための技術とお考えください。

部下が自らの問題に気づくためには、結果だけではなく、途中に振り返ることをする習慣が必要です。それらをあらかじめ指標として設定していくことがプロセスマネジメントを実践していく上でのポイントと言えるでしょう。