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『部分最適よりも全体最適を!』~日米プロ野球のビジネス展開に学ぶ

「巨人、大鵬、卵焼き」

ほとんどの方が知っている流行語だと思うが、
1961年(昭和36年)子どもの好きなものを羅列して流行語になったものだ。

東京のみならず、全国ネットでTV放送されていた巨人戦。
必然的に巨人ファンかアンチ巨人に分かれて観戦を楽しんだ日本人。
巨人に入団したいがために大騒ぎした江川卓。
かつては、巨人戦に強いピッチャーが巨人キラーなどと呼ばれて注目されたりもした。

例を上げるとキリがないように、まさに日本のプロ野球は、巨人を中心に繁栄してきたわけだ。

時代は移り変わり、視聴率20%は獲れていた巨人戦も10%を切るくらい注目されなくなり、
結果としてプロ野球が地上波で放送されることは殆ど無くなった。

このような状況から、プロ野球全体が低迷しているような感覚に陥ってしまうが、
必ずしもそうは言い切れないようだ。
例えば、昔はどの球場も閑古鳥が鳴いていたパ・リーグの試合は、
福岡ソフトバンク(旧ダイエー)の成功を皮切りに、千葉ロッテ、北海道日本ハム、東北楽天、
と地域に密着しながらファンの拡大に成功する事例が続いている。
よって、「巨人の衰退=プロ野球の衰退」という図式ではなく、
プロ野球全体としてみれば状況としては寧ろ良くなってきたのではないか、という風にも見て取れる。

しかし、この数字を見ていただきたい。

419_2『部分最適よりも全体最適を!』~日米プロ野球のビジネス展開に学ぶ

日本のプロ野球は、米国のプロ野球と比較するとその差は歴然としている。
現在の状況からすると、「そりゃそうだよね」という感覚にもなるかと思うが、
1995年時点に遡ると、日本のプロ野球の方が総収入は多かったそうだ。
この十数年の間、日本プロ野球の総収入がほぼ横這いだったが、
米国プロ野球は5~6倍にまで収入を伸ばしているのが実態だ。

なぜこのような差が生まれるのかというと、それはビジネスのやり方に起因する。
日本では、「それぞれの球団が頑張って経営する」というカタチになってしまっているが、
米国では、「メジャーリーグとしてビジネスを展開する」方式がとられている。(※詳細はコチラの記事を参照)

つまり、日本は「各球団の最適を追求した結果、プロ野球全体としては横這い」という状況に陥っているわけだが、
米国は「メジャーリーグ全体の最適を追求した結果、全体の売上を最大化することに成功し、各球団もその利益を享受することができている」ということになるわけだ。

リンク先ページを見ていただければわかるが、キーワードは明確である。

「本当はこうすればもっと良くなるのに!」と普通に考えればわかっていることを着実にやってきているのが米国メジャーリーグで、
「いやいや、そうは言ってもそれぞれの立場を考えるとなかなかね…」と実行に移せないのが日本プロ野球、
というか関わっている日本企業や自治体すべて。

ニューヨーク市が、ヤンキースとメッツに対して、
球場に使われる土地を「無料もしくは格安で貸している」というのが象徴的な話だ。

決して、この15年の間にメジャーリーグファンが5倍以上に増えたわけではないと思う。
各球団の努力では限界がある市場拡大を、リーグ全体で取り組むことで実現させる、
という全体最適の視点で、「本当はこうすれば…」をひとつずつ実行してきた結果だ。

「あの事業はもう成功の可能性がほとんど無いけど、A本部長が立ち上げた事業だから今さら撤退なんてできないよね。」
「このシステムはあまり役に立ってないけど、B本部長が意思決定して導入したシステムだから、今さら使えないなんて言えないよね。」

会社の資源は限られているのに、部分最適(ともすると個人最適)な視点を先行させて、
全体最適(本当はこうすればもっと良くなる)に制約をかけてしまうケースが多々発生している。

日米プロ野球に学んで、もう一度見直してみよう。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。