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【事例から学ぶ】プロジェクトキーマンを見極めることの重要性

さて、今回は以前私が犯してしまった失敗についてお話ししましょう。

事業の建て直しというテーマでお話をいただいた小売業の年商は1500億円。激しい競争環境にあり、自社の優位性を見出せずに苦しんでいらっしゃいました。今回は事業の活性化(売上向上)がテーマですから、検討ポイントはもちろん顧客ターゲットと4Pに落ち着きます。
ところで、コンサルティングサービスを提供する場合は、一般的に「完全オーダーメイド」の形態を取るのが常です。つまり我々は「出来合いのサービス」を販売するわけではなく、クライアント企業ごとの「オーダーメイドサービス」を提供するのです。

これは一見基幹システムなどをサポートされるシステムインテグレータに似ているように見えますが、生産効率に対する姿勢という点ではかなり異なります。「オブジェクト指向」や「オープンソース」といった概念から、SIは開発工数を軽減することにより開発コストを軽減しようとしますが、厳密に案件別に素材の準備を要求されるコンサルタントは、必ずといっていいほど「完全に」オーダーメイドにせざるを得ないのです。

したがって、クライアント企業にお話を伺った上で、プロジェクトの目的や(弊社から提出する)成果物、および成果物を提出することを目的とした調査内容や業務内容、さらにはクライアントへのお願い事項などをドキュメントにまとめ、案件ごとに企画書という形態でプロポーザルを作成するのです。
実は今回の失敗は、この企画書の段階にありました。プロジェクトがスタートするまで(実はスタートしてからもしばらくは)、キーマンを見つけることができなかったのです。

私の場合、一度キーマンの方とお会いしてニーズを伺い、2回目の訪問では企画書を持参して意思決定をしていただき、プロジェクトがスタートします。訪問回数が多い場合でも、最初に持参した企画書の一部をリライトして、3回目の訪問でスタートするのが通常の流れです。

ところが今回はキーマンとおぼしき方にニーズを確認した後、2回目の訪問時、つまり企画書持参時には先方が何と20名もテーブルにつかれたのです。皆さんは日頃から感じていらっしゃるご自身の課題を話してくださいました。私としても皆さんのご期待に沿いたいと考え、どうにか企画書を書き直して次回の打合せに臨みました。

3回目の訪問ではまた20名が出席されています。やっかいだったのは前回ご出席の方だけではなく、違う方がいらっしゃったことです。この方たちからはまた新たなリクエストが出てきます。私はまた新しい方たちのリクエストにも何とかお応えしたいと考え…。このミーティングが何度続いたでしょうか。

企画書のリライトは実に20回を超えました。私にとっては未経験の回数でした。その結果、気づかないうちに私は基本的な大きなロジックエラーを起こしてしまっていたのです。

皆さんのリクエストに応えようとするあまり、業務の目的はぼやけ、仮説を検証するための調査は抜け落ち、スケジュールはガタガタになっており…。思い出すのも怖いくらいです。

結局プロジェクトが始まり、かなり時間が経ってからキーマンになる方を見つけ、キーマンとのコミュニケーションを密にし、見込んでいなかった調査を無料で実施し、クオリティを落とさないよう注意しながらスケジュールをかなりタイトに組み直しました。

結果として、弊社のプロジェクトメンバーにはかなりタフな仕事をさせたばかりでなく、クライアント企業のメンバーの皆さんにもご迷惑をおかけしてしまいました。

それもこれも私がキーマンを見誤ったために起きた問題です。意思決定される方がどなたかを見極めた上で、シャープな提案と業務を行うべきでした。
しかし、これはひとり私に限った話ではなく、皆さんの営業現場であっても、社内のコンセンサスを得る場合であっても、様々なビジネスシーンにおいて活かせるテーマではないでしょうか?

キーマンの見極めはとても重要である一方、実にささいなことをきっかけとして見誤ってしまうこともあるのではないかという気がします。「キーマンを見極める」。ここを踏み外してしまうと大きなやけどを負う可能性があります。
(この記事は2008年8月12日に初掲載されたものです。)