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問題解決能力を発揮できないわけ

こんにちは、船井総合研究所の川原慎也です。

前回までに、問題解決のステップについての解説をさせていただきました。
私どもコンサルタントにとって必要不可欠な能力がこの“問題解決能力”です。私がなぜここにこだわるのかというと、“問題解決能力”の重要性を十分に認識しながらも“思考停止”に陥っているケースを多々お見受けするからです。

あるビジネススクールでは、このような受講生がいました。ケーススタディの宿題(自分自身で考えて答を導くフェーズ)はそこそこに済ませ、結果として実際のクラスにおけるグループディスカッションでは発言機会も少なくなってしまいます。ところが発表が終わった段階で「ところで正解は何でしょうか」と質問し、講師が説明する一般的な模範解答については感心するほど一生懸命メモをとっていました。
皆さんは当然おわかりだと思いますが、ケーススタディで大切なのは、自分自身でたてた仮説を他人に理解・納得してもらうように考えて論理を積み上げていく“プロセス”であり、模範解答を覚えることではありません。そもそも、ケーススタディに登場する企業のとった行動は必ずしもベストの選択だったとも言えないわけです。

船井総研には、ここ数年新卒採用で毎年50名位の新人が入社してきます。彼らの中の一部は、「コンサルティング会社に入社すると、ソリューションを教えてもらい、それをクライアントに持っていくと、たちどころに正解が出る」「船井総研流の特別なツールがあって、それを持っていけば問題は解決する」という誤解をしている社員がいるようです。当然のことながらノウハウの共有は社内で行っていますが、それらはあくまでも『知識』として蓄積するものであり、どのクライアントにも当てはまるものではありません。

先日、ある部品販売会社の幹部社員と話をしていたときに、「コンサルタントの方々は、当然“答”を持っていますよね。我々はそれを期待しているし、それをそのまま実行するほうがどれだけ楽だろうと思うんですけどね」というようなことを言われました。

ビジネススクールで感じた違和感、新入社員のスタンスから感じた違和感は、社会に出てまもない若手社員の問題だと思っていたのが、企業の幹部クラスまでもが“思考停止”に陥ってしまっているのです。

ちまたには、経営手法(あるいはツール)として、「TOC」、「バランススコアカード」、「シックスシグマ」、「TQM」といったものがあります。ただし、これらはどれも非常に有効なツールになり得ますが、これらを使えば全て上手くいくという魔法のツールではありません。よく「○○を導入したけどアレは使えないよ」といった話を聞きますが、その原因は本当に相性が悪いケースもあるものの、上記に述べてきた「答を教えてほしい」という“思考停止”のスタンスに問題があるケースが多いのではないでしょうか。

コンサルタントに求める価値もさまざまだろうとは思いますが、我々が自信をもって提供できる価値は成功事例のパッケージ提案ではありません。クライアントが置かれている状況を正確に捉え、生じている問題を解決するための策を徹底的に考え抜くことであり、それを通じて提案できるレベルに到達する実行戦略を立案し、実行に導くことです。それらを、クライアントの皆様とともに考え、多くの方が理解・納得できるカタチまで落とし込むからこそ、実行できる戦略として機能しているのです。

“問題解決能力”は、コンサルタント固有の能力ではありません。訓練すれば誰にでも身につくものだと思います。例えば「郵政三事業の民営化について」といった新聞等のテーマを考えることでも十分だと思いますので、是非とも日々訓練していただきたいと思います。

川原 慎也
株式会社船井総合研究所 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/攻めるPDCAマネジメント・顧客満足度アップ
外資系自動車メーカーにて営業、マーケティングなどを経験したのち、1998年船井総合研究所に入社。年商1兆円以上の大手企業から社員3名の零細企業に至るまで、企業規模や業態を問わず幅広くコンサルティングを行っている。 PDCAを切り口に現場の行動に変化をもたらし、企業を新たな成長のステージへと導くコンサルティングが近年高い評価を獲得。