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業務機能上の役割分担~企業を成功に導く近道~

冒頭から私事で恐縮ですが、私には2歳半になる子供がおります。2歳を過ぎた頃に突然アルファベットの文字を読み出しました。「こいつは結構できるんじゃないか!?」と親ばか丸出しになり、アルファベットの文字の書いた絵本や玩具を買い与えたところ、ほぼ1日ですべての文字を覚えました。
ところが・・・、です。アルファベットを読めるのだから、ひらがなはさぞくみし易いだろうとひらがなシリーズに突入したところ、全く覚えません。あれから半年近くになりますが、いまだに自分の名前の文字すら読めないのです。
恐らくこの理由は簡単で、今のところ彼はひらがなには全く興味がないのです。興味がないので覚えるまでに時間がかかり、自身の強みにはならないのでしょう。

仕事を行う上でも、様々な面でこの行動原理は働いているような気がします。
現に若手社員の育成方法などについては弊社でも「強みを伸ばす」という原理を応用しています。短所を是正するよりも長所を伸ばす方が、その効果が現れやすく、また本人自身も成長プロセスを体感できるため、モチベートされやすいからです。

さて、今回お話ししたいのは、「業務機能上の役割分担」についてです。果たして成功しやすい業務機能という概念は存在するのでしょうか?
これは最近の傾向ですが、私の元にも銀行や投資ファンドから相談を持ちかけられることが増えてきました。当然彼らとしては、他行との差別化を図るためにはクライアントの要求に的確に応えCSを向上させることが必要ですし、投資家が納得するようなイグジット(出口)を見据えた事業会社の買収を行う必
要があります。

様々な業界で競争が激化している昨今では、ワンストップソリューションとしての的確でシームレスな戦略ストラクチャーが求められる一方で、ストラクチャーを構成するひとつひとつのパーツに対しての専門性が求められています。したがって戦略構築を支援するプレーヤー達には全体を構成していくプロデュ
ース能力と支援分野での専門性が問われることになります。

銀行やファンド会社からの相談が増えてきた背景はこの「ユーザーから求められる専門性」に拠るところが大きいと思っています。
銀行はB/S(貸借対照表)やP/L(損益計算書)の営業利益よりも下の科目についてのプロではありますが、売上や粗利向上、販管費圧縮についてのプロではありません。彼らはクライアント企業に対し、退職引当金についてのアドバイスはできても売上高向上についての的確なアドバイスはできず、またファンド会社はエクイティ(資産)やデット(負債)についての価値測定はできても事業(ビジネス)価値についての測定や予測は苦手分野だからです。
そこで弊社のようなマーケティング戦略系のコンサルティングファームが重用されることになります。我々はP/Lの世界、特に売上や粗利、営業利益を向上させることが得意だという理由からです。もちろんケースによっては全体のプロデュースを任されることもあります。

コンサルティング分野にかかわらず、多くの企業でも最近はこの傾向が顕著です。すなわち、顧客のニーズに対し全体をプロデュースできる能力に長じており、かつそれを構成するパーツの専門性がとても高いという企業が成功しているように思えてなりません。
しかし、この両輪を同時に満たすことができる企業は実はそんなに多くはないようです。多くの場合、自社が持つ専門的なノウハウは追求できても、会社の業容という制約条件が働いてしまうために、顧客が満足する総合的なプロデュースは提供できないからです。

逆説的な事例になりますが、ビジネス雑誌などによく紹介される「できる営業マン」像は、大抵の場合この両者を備え持っていますが、専門スキルは会社から与えられた知識と経験であることに対し、総合プロデューススキルは個人の自発的な問題意識や行動に負うところが多いのが実態です。
このように企業としての制約条件が足かせになってしまう場合は、いたずらに総合性を標榜せず、やはり自社の持つ専門性に磨きをかけ、得意分野で勝負している企業が成功への近道といえるのではないでしょうか。

さて、冒頭の愚息ですが、最近ではアルファベットには飽きたと見えて、湘南新宿ライナーだの南海ラピートだのと、すっかり鉄道マニアの様相を呈しています。
(この記事は2008年7月11日に初掲載されたものです。)