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アパレルの人材戦略の課題

アパレル業界の人手不足が顕著になってきました。労働人口の不足からどの産業でも人員不足が大きな経営課題となっていますが、アパレル業界の人手不足問題は構造的なモノであり、その解決はたやすいものではないと思います。

90年代から増加した大型ショッピングセンターは、小売店の売場面積を大幅に増加させました。バブル崩壊後、総消費需要額が大きく増加することはない中、売場面積が増加したわけですから売場生産性はアパレルのみならず多くの小売業の構造問題となりました。

そして需要額が伸びていないものの、アパレルでは海外生産商品が大幅に増加したため一商品の単価が低下し、数量アップで売上確保、利益確保に取り組んできたため必然的に物流コスト、販売コスト(作業コスト)が増大する構造となりました。つまり売上・利益は伸びない中、経費増につながりそうな要因も増大したわけです。

当初、この問題の解決を多くのアパレル企業では最も人員比率の高い販売スタッフの契約販売員化、パート販売員化で乗り切ろうとしました。しかしやがてそれでも対応が難しくなっていき、正社員販売員、契約販売員、パート販売員すべての賃金水準を押さえることで人件費増を防ぐ形になりました。労働分配率で表せるように人件費比率が経営の中で適正であるかどうかは、粗利に対しての人件費の比率がどうかで評価されることが一般的です。

粗利の絶対額がなかなか増えないから人件費を落として経営の帳尻を合わそうとした企業が多いわけです。その方便の中で販売スタッフを専門職の養成と称して別会社化するのです。そもそも論として管理も教育もコストがかかるわけだし、本社から遠い店舗は代行会社に任せてしまおうという安易な考え方で、単に“店舗に運営上必要な頭数だけ配置すればよい” “店舗に必要人員を配置するのに精いっぱい”という状態になっていったわけです。

多くの企業ではスタッフの可能性や能力の引き出し方について、人生をかけて追求し取り組むべき仕事としての定義がなされないまま「とにかく予算達成のために頑張りましょう」という先輩スタッフの号令の中で働き続けなければならない環境ができてしまったわけです。

結果、「何のために働くのか」「仕事の喜びとは何か」「自分らしさを発揮し幸せな人生を歩むためには何に取り組むべきなのか」「仲間と働くことの難しさと楽しさとは何なのか」などを考える余裕も意思も失った企業が増大した。これが現在のアパレル産業の販売スタッフの不人気につながってしまったことは間違いないのだと思います。

岡 聡
株式会社船井総合研究所 執行役員 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/流通業(メーカー・卸・小売)向け
入社以来、アパレルメーカーでの企画・製造・小売の総合的な知識に船井流マーケティングをドッキングさせ、ドラッグストア、ホームセンター、商業施設・商店街、食品スーパーなどの小売業の活性化、メーカー戦略、ブランド開発、商品開発、チャネル開発、新業態開発、営業部隊活性化、本社戦略・営業システム開発、マーケティング教育などをトータルに企画・コーディネートし、企業の経営企画をサポートしています。(経済産業大臣登録 中小企業診断士。日本商工会議所・全国商工会連合会 1級販売士。)