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「ファッション業界は数字に弱いんです」はもう許されない

ファッション業界(アパレル業界)一昔前はメディアや広告業界と同様、いわゆる「ギョーカイ」と呼ばれる世界でした。「○○ちゃん、新しいブランドいけてるよね」「▲▲ブランドって最近いけてないよね」というような言葉が横行し、感性・センス・オシャレを追求する姿勢がカッコ良いと考えられていた世界です。そのような世界で古くはVANトレーナー、JUNのTシャツ、ボートハウスやキャプテンサンタのトレーナーの大当たりアイテムからボティコンやプレッピー、DCブームなどファッションに本当は知識や興味の乏しい層まで突き動かす一大ブームが巻き起こり、社会現象として取り上げられるほどの時代性発揮をしたことも事実です。

しかし時代は移りかわり業界の構造問題まで叫ばれる昨今、ユニクロ以外に代表されるファストファッションや一部の小売店舗系SPA以外は往時の輝きを失っています。百貨店がオシャレな洋服の殿堂であり情報発信基地であった時代もWEBで洋服を買うことに抵抗を持たない消費者層が台頭する時代へと変化し、店頭の予算達成は各社とてもとても難しいという状況に陥っています。各種調査をみても明らかですがアパレル業界の販売員の給与水準もドンドンと低下し、本来は夢と華やかさ=成功物語を売っていかねばならないギョーカイのはずなのに好きでなければやっていけないというような低い賃金水準、改善が必要な労働環境のギョーカイになってしまいました。

この原因は海外からの低廉な繊維製品の輸入が増加したとか、可処分所得の中で衣料品や音楽CD、自動車などのオシャレな商品へ支出以上にスマホやゲーム系への支出を重視するような消費者が増加する時代にお客様を惹きつける説得力を日本のアパレルブランドが持ち得ていないという問題があることは間違いありません。しかしそれ以上に問題なのが日本型アパレル企業の収益管理、数字意識の低さです。また意識以上にスキルの不足もこれまた問題です。アパレルメーカーの中堅幹部の花形はブランドマネージャーやマーチャンダイザーです。

しかし彼らの主要業務は今シーズン当たる商品、売れるデザインの研究です。日常業務の時間の大半は「何がイケてて何がイケてないか」の論議です。これはラーメン店でいえば、豚骨味のスープの味や麺の縮れがどうあるべきかの話、花屋さんで言えばオランダのチューリップはやはり綺麗ねといような話です。これはこれでもちろんとても重要な話です。しかしこれはあくまでも商品開発面の一要素であって、事業としてどう他社と差別化し顧客を獲得するか、その結果としてどう収益を獲得するかという話とは別次元なものです。

本来はブランドマネージャー、マーチャンダイザーは自分の担当するブランドの収益性、今シーズンのROIをどうするか、ブランド価値をどう高めるかということに対しての責任を持つのがあるべき姿です。各ショップの売上報告を毎日集計し、ライバルブランドの売上に勝った、負けたを集計しているだけではどんどんと状況は悪くなる一方です。アパレルの場合、他の業界と違って現場のショップでコントロールできる要素は少なく、ほとんどが企画設計の段階で収益構造は決まります。数字力を高めて儲かるビジネスをどう組みたてるかを語れないブランドマネージャーやマーチャンダイザーでは勝ち残れません。今はそういう時代になっているという正しい認識を持つことが重要なのです。


経営改革フォーラム2016

岡 聡
株式会社船井総合研究所 執行役員 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/流通業(メーカー・卸・小売)向け
入社以来、アパレルメーカーでの企画・製造・小売の総合的な知識に船井流マーケティングをドッキングさせ、ドラッグストア、ホームセンター、商業施設・商店街、食品スーパーなどの小売業の活性化、メーカー戦略、ブランド開発、商品開発、チャネル開発、新業態開発、営業部隊活性化、本社戦略・営業システム開発、マーケティング教育などをトータルに企画・コーディネートし、企業の経営企画をサポートしています。(経済産業大臣登録 中小企業診断士。日本商工会議所・全国商工会連合会 1級販売士。)