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船井流物流マネジメントの考え方

成熟度の高い物流現場では長所伸展型のマネジメントでより高効率な現場をつくる

●長所伸展型のマネジメントと短所是正型のマネジメント
現場マネジメントの考え方は大きく2つの方向性があります。良いところを伸ばす長所伸展型のマネジメントと、悪いところを直していく短所是正型のマネジメントです。長所伸展型のマネジメントは、その現場、個人の長所を伸ばし全体のレベルを底上げしていく方法であり、日本型の現場には適していると言われていています。 日本の効率的運営の代表であるトヨタ式カイゼンの考え方にも含まれている考え方でもあります。

また短所是正型のマネジメントとは、平均値以下のレベルの現場、個人を集中的にトレーニングし、全員を平均レベルに押し上げるマネジメントです。または標準的な仕組みによって業務を行えるようにするマネジメントです。言語が違ってコミュニケーションがとりにくいアメリカの現場マネジメントではこの方法がとられることが多いようです。日本でいうとファーストフードチェーンのマクドナルドがこの運用がとてもうまく、入社一週間前後で一人前の社員をつくることができることで有名です。

どちらのマネジメント手法があっているか、正しい解はありませんが、その現場の成熟度合い、成長ステージでどちらを選択すべきかが変わってきます。まったくマネジメントが効いておらず基礎知識がない現場では当初は短所是正型で改善を進めていく必要があるでしょうし、基礎知識は定着しており、より発展が望まれる現場では長所伸展ということになるのです。 この方針を間違えてしまうと、「なぜいうことを聞いてくれないのだろう?」といったコミュニケーションの壁ができてしまいます。

●素直、プラス発想、勉強好きの現場づくり
①素直②プラス発想③勉強好きの成功3原則を現場に定着させることが船井総研式現場活性化のポイントです。素直とは知らないことを否定せず、まずやってみる気持ちをもつこと。そして悪いと感じたことはすぐにやめる実行力をもつことです。ほとんどの人は知らないことに対しては先天的に懐疑的ですため、この素直な気持ちを現場にもってもらうようにするには、小さな効率化活動から始め、小さな成功体験を繰り返していくことで身につつけていくことがよいのです。

プラス発想とは、楽天的な心持を指すことではなく、活動に対し前向きな心、積極的な心を持つことです。船井総研のいうプラス発想はフロー理論に近いところがあります。 このフローとは、ハンガリー出身のアメリカの学者であるチクセントミハイ教授が提唱した、対象に惹かれてその行為に集中し楽しさを感じ、流れるように行動していることを感じる体験、ゾーン、といった状態になっていることをいいます。 

プラス発想とはこのフロー状態をつくる、つまり成功するイメージづくりを持って活動に臨むことをいう。勉強好きとは、学業だけのことを指すのではなく。新しいこと未知のことを知り、体験することへの強い関心と行動のことをとることを指しています。具体的には先進的な物流現場を見るなど、新しい事例などに対して興味をもつことが勉強好き人間なのです。

●数値で検証し上位者を評価する
人間は数値で検証されることを嫌う傾向にあります。しかし良い数値が結果として出てきたときには、その内容を評価してもらいほめてほしいものです。例えば人時生産性でも上位5名の成績を掲示して表彰するという方法は、社員のモチベーションが上がるだけではなく、全体の生産性を向上させるためにもとても良い方法なのです。

なぜなら現場全体が上位の作業レベルに引っ張られる傾向にあるからです。筆者の支援している物流現場では、所属100名の現場で月間、年間の人時生産性TOP10名を掲示し、作業マスターとして評価しています。成績の悪い作業者も含めて全員掲示するという方法もあるが、これはプラス発想が多いに関係する生産性向上策の場合には得策ではありません。

成績下位の作業者はモチベーションがダウンし、成績上位の作業者も下位の作業者との成績の開きを見て、仕事量の損得勘定が働いたりすることもあるからです。ただしピッキングミスなど品質に関する場合は、下位評価をすることで効果がでることはあります。その際には個別面談を行うなどで是正していくほうがよいでしょう。生産性は長所伸展で評価し、品質は短所是正で評価することが良いようです。