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活性化におけるリーダーシップの重要性

リーダーシップに関しては、1930年代から様々な研究がなされてきました。
初期はリーダーになる人には、その他の人とは異なる資質が備わっているという前提の基に、リーダーとその他の人の相違を観察する「リーダーシップの資質理論」が研究されましたが、理論としては否定されました。1940年代に入ってから、リーダーの行動特性を研究しようとする「行動理論」が展開されました。日本では、1964年に提唱された「PM理論」が有名です。
この理論は、集団目標を達成しようとするP(Performance)機能と、集団を維持しようとするM(Maintenance)機能にリーダーシップの行動を分類したものです。
P機能は、達成のためにメンバーに強い支配力を発揮する圧力P機能と、仕事の手順や緻密な計画立案を進める計画P機能があります。
M機能は人間関係に配慮した行動を取ることが中心で、有効な相互関係の構築や権限委譲があげられます。それぞれの機能は単独で力を発揮するものではなく、組織風土や社員の意識水準に応じて、バランスを取ることが重要であると言われています。
これらの研究は現場におけるベストプラクティスを中心として研究されましたが、状況によって有効なリーダーシップが異なるのではないかという考え方に押されて衰退していきました。新たな展開はコンティンジェンシー(条件適合)理論やパスーゴール理論へ広がっていきました。
かつてのリーダーシップ理論を振り返ってみると、基本的に組織内の中堅幹部を中心として組み立てられていることがお分かりいただけることと思います。
ある程度の先行きが見える状況下においては、この部分にフォーカスすることが、企業にとって最もメリットが大きい時代であったと言えるでしょう。
現在のように、先行きが全く見えない状況になってくると、より上位のマネジメントが重要になってきます。

【経営者のリーダーシップに関する事例】
ある会社で、経営者の意思決定のための定期報告会議に出席する機会をいただきました。残念ながら、その会議では結果系数値の報告が中心で、現場の活動状況がわかる報告はほとんどありませんでした。該当企業の代表者は、圧力P機能型リーダーで、成果に対する思い入れが強く、「なぜできないのか」に対する叱咤しかありませんでした。当然、報告者は頭を低くしているだけで、現場実態を掌握できる発言はありません。
会議終了後、代表者より「エンドユーザーに会えないことが問題であり、努力不足だ」というお話を聞きましたが、我々は「なぜ会えないのか」という点を解明しないと努力のしようがないことをお伝えしました。すぐに、現場での営業プロセスを確認し、プロセスごとの指標を集めることが指示されました。この中から、不振店舗において問題のあるプロセスが発見され、それを改善していくために必要な権限が担当マネージャーに与えられました。社員に対しては、「なぜそれを実行すべきなのか」を経営者が店舗を巡回した説明していただきました。これによって、社員とのコミュニケーションもよくなり、今まで以上
に正確な現場情報が経営者にあがるようになっています。
マネジメント上では、現場リーダーがその力を発揮するために必要な権限を委譲し、社員には密なコミュニケーションを取ることが必要であることは言うまでもありません。先の見えない現在は、カリスマ的リーダーの必要性はありますが、全ての経営者がこのタイプに属する訳ではありません。むしろ、正しい
判断をするためのコミュニケーションの仕組みを検討することがポイントになるのではないでしょうか。特殊なリーダーがいなくても、現場のPDCAを循環させることは、十分可能です。仕組みの導入を意思決定することも、リーダーの役割であると言えるでしょう。