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コンサルティング脳の使い方

【大手産業機器メーカー:K社「Y事業」の営業部門からの相談】
・「Y事業」の受注率が低下している。
・「Y事業」の営業マン達は、コンサルティング営業(提案営業)ができていないため、まず、これを是正したい。
・コンサルティング営業ができないのは、そもそも、販売先となる取引先の情報を充分に取れていないからである。
・そこで、営業マンの「情報収集スキル」と「提案スキル」を高めるためのトレーニングプログラムと、取引先情報の管理方法(システム提案)を提案して欲しい。

さて、皆さんがコンサルタントであると仮定し、クライアントからこの
ような相談を持ちかけられた場合、どのような点に注意してコンサルテ
ィング提案すべきか?

これは、私が若手社員と飲みに行った時に投げかける質問の一つである
が、若手は、ほぼ以下のような指摘をする。
→「コンサルティング営業ができていないことを受注率低下の原因とし
ているが、今回相談があった営業部門には、それ以外に優先して解決す
べき問題があるのではないか」と。

この回答、確かに正解ではある。「Y事業」の受注率低下の真の原因を
追求するため、営業マンの数、営業マンの配置、訪問先の選定方法、業
務分担、日常業務の管理方法(PDCAサイクル)、モチベーション管
理といった要素のレベル評価もすべきであるという考え方だ。

考え方の筋は悪くないのだが、この回答では残念ながら低レベルの回答
である。

できれば、もう一つ上のレベルで考えて欲しい。このケースの場合、営
業部門からの相談であるため、自然と営業部門という枠組みの中に限定
された思考回路になりがちである。

「Y事業」の受注率の低下の要因を「営業部門の内部」のみに求めるの
ではなく、「Y事業」が展開する製品・サービスの品質、物流機能とい
った営業関連以外の要素も加味して欲しい。

しかし、この考え方も残念ながら完全な正解ではない。中レベルである。

若手社員には、さらにもう一つレベルを上げて考えて欲しい。

そもそも「Y事業」の強化に注力することが、K社にとってベストな選
択なのか?(あるいは「Y事業」の受注率を改善することが本当に可能
なのか?)と。

こんな風に考えるクセづけをしておけば、クライアントの要望通りにコ
ンサルティング業務の提案して実行したにも関わらず、期待成果が得ら
れないといった問題や、プロジェクトの途中で方向性を大きく変更する
といった業務ロスもなくなるはずである。

濱野 雄介
船井総合研究所 プロジェクトマネージャー