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うまくいく成果主義評価制度導入のポイント

皆様の企業におきましても、既に成果主義評価制度を導入されているところも多いのではないかと思われますが、いかがでしょうか?
成果主義はバブル崩壊後から徐々に注目を集めはじめ、ここ数年は成果主義ブームで様々な企業が導入を進めてきました。厚生労働省が今年9月に発表した「平成16年就労条件総合調査結果の概況」によると、業績評価を導入している企業は、従業員1000人以上の企業で86.8%、従業員30~99人の中小企業におきましても54.1%と、多くの企業が成果主義の導入に踏みきっているようです。

しかしながら、それらの企業のうち、「うまくいっている」と回答した企業は15.9%と2割にも満たず、「うまくいっているが一部手直しが必要」が45.3%、「改善すべき点がかなりある」が30.4%、「うまくいっていない」が0.9%と、8割弱の企業が何らかの問題を抱えているようです。またその問題点は、「評価結果に対する本人の納得が得られない」が31.4%ともっとも多く、次いで「評価によって勤労意欲の低下を招く」が23.8%、「評価システムに対して労働者の納得が得られない」が16.8%となっています。

これらのデータから、導入以降の運用の難しさがうかがえますし、元社員による大手企業の元社員によるの暴露本が大きな反響をよんでいることなどからも、制度そのものの是非が問われはじめてきていることがわかります。では、導入を済ませた企業の具体的な事例から考えてみましょう。以前ご支援させていただいたある飲食業(店舗数7店舗、正社員約60名、パート社員約300名)では、「社員のモチベーションを上げて業績の向上を図る」という目的のもと、成果主義評価制度導入プロジェクトを開始しました。

プロジェクトは非常に順調に進み、キックオフから半年で無事完成し運用を開始しました。ところが運用しはじめてから9ヵ月後、ある店舗でパート社員の1/3が一度に辞めてしまったという連絡を受けたのです。そこで辞めてしまったパート社員の1人から詳しい話をうかがってみると、「がんばって高い点数を取れば給料を上げてくれると言われたのに、上がらないような評価点しか付けてくれない」とのことでした。その店舗の店長は、人件費を抑えようと全体的に低い評価点しか付けていなかったのです。

このときは下記の2つの対応を取ることで、辞めてしまったパート社員に戻ってきてもらうことができました。
■店長の評価項目から「人件費」を外す代わりに「人時数」(従業員の労働時間の総和)を加え、金額による評価から時間による評価に変更する
■必ず評価のフィードバックを行う

評価の納得性を高めるためには、「評価者訓練を行う」ことにより評価者の評価スキルを上げる、もしくは「マニュアルを作成する」ことにより評価者の評価レベルを統一させるといった方法もありますが、もっとも効果的なのはこの「評価者から被評価者へフィードバックを行うこと」です。このフィードバックを行う際、以下の3つを伝えることがポイントとなります。
■評価結果
■その評価に至った理由
■努力して欲しい点とその達成レベル、及びそのレベルに到達した場合の評価
 (○○に関してはこのレベルまでやって欲しい。そうすればA評価がつく。)

一見当たり前のように見えますが、なかなかやりきれない企業が多いようです。昨今、成果主義、年俸制、コンピテンシー、役割等級制度など組織・人事に関する新しい言葉が乱れ飛んでいますが、言ってしまえばこれらは所詮ひとつの「ハードウェア」に過ぎません。組織の力を最大限に引き出すためには、コミュニケーションやリーダーシップなどの「ソフトウェア」の充実させ、両者をバランスさせることが不可欠となります。もし成果主義がうまく機能していないようでしたら、一度上記のようなフィードバックを行ってみてはいかがでしょうか。

(この記事は2008年5月12日に初掲載されたものです。)