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有価証券報告書から時流を掴む 2

前回は、有価証券報告書から、「会社の概要を掴む」ため、
また「ビジネスの現状をつかむ」ために目を通してほしいポイントを紹介しました。
いきなり数字の大小を論じたり、エクセルで指標分析を始めたりする前に、
文章を通じて会社や業界のイメージをつかんだほうが、
より興味深く、また想像力豊かに数字と向き合うことができるからです。

今回は、具体的に有価証券報告書に載っている数字を見てみましょう。

財務3表と言われる、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書は第5【経理の状況】に掲載されています。

最初に見るのは損益計算書になります。
損益計算書のどこを見るか、というのは会社の業績や業種によるところがありますが、
・売上・営業利益・経常利益は伸びているか落ちているか、それはなぜか?
・営業外収益、特別利益、特別損失にはどんな項目があるか?金額の増減はどんな状況を反映しているものか?
は必ず考えてみてほしいところです。

貸借対照表は全体の数字を見てもわかりづらいので、指標分析から入るのが一般的です。
資産を有効に活用できているかを表す収益性分析では、損益計算書の計数と比較して回転期間・回転率を算出します。
また、安全性分析では短期・長期それぞれの安全性を確認するために、資産と負債の比率、資本と負債の比率を算出します。
損益計算書は毎期数値が大きく変動して当たり前のところがありますが、
貸借対照表の指標は会社を取り巻く状況が変わらない限りなかなか動くものではありません。
そのため、著しく変動している場合には注意深く分析する必要があるでしょう。

指標分析で大枠をつかんだところで、同業他社と比べてどんな金額構成になっているかを見てみてください。
固定資産の金額はどれくらいか、本業以外の資産をどのように運用しているのか、
資金調達はどのようにしているのか・・・などはトップの考え方、ビジネスのやり方が反映されているところなので、
同業と思える会社であってもまったく違う貸借対照表である、というのはよくあることです。
個人的には3表の中で一番想像力が鍛えられて面白いと思います。

貸借対照表、損益計算書はどちらも前期分が併記されていますが、
可能であれば3~4期分を並べてみることをおすすめします。
また、一般的に同業とされている会社であっても、
実は主要な事業が違っていたりビジネスのやり方が違っていたりするので他社との比較も欠かせません。
一つの数字ではわからないことでも複数と比較することで多様な見方ができるようになります。

ここまで、「なぜそうなっているか考える」ことをおすすめしてきましたが、
貸借対照表も損益計算書もいきなり考えるだけではわからないところもあると思います。
そのときのヒントや答え合わせに使ってほしいのが、第2【事業の状況】と第3【設備の状況】です。
ここでは表や文章を使って、どんなやり方でビジネスを進めていて、
数年で自社を取り巻く環境がどう変わってきているかが説明されているので、納得しながら数字を読み進められます。
また、有価証券報告書がちょっと長い、読みづらい……と感じる方は、
はじめに決算説明会の資料や事業報告書を読んでみてください。
写真やグラフが多用され、新製品の発売や世界市場での活躍ぶりなどビジネスのトピックがよりわかりやすく紹介されていて、親しみが湧く内容になっています。

次回はキャッシュ・フロー計算書とその他の数値情報についてご紹介します。