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なぜ「利益」を追求すると「利益」が下がるのか?

経営コンサルティングのご依頼として最近多いケースは

1)金融機関からのご依頼で融資先の業績回復をして欲しい
2)金融機関に支援を受けている企業様からの業績回復のご依頼

この2つです。どちらのケースもあまり時間の猶予がないことが多く、短期間で「利益」の追求をおこなうことになります。もちろん様々なスキームにより、「利益」を捻出できるケースもありますが、特に本業の儲けの指標である「営業利益」を上げる際には、その追求の仕方に注意が必要です。「営業利益」は自社の事業をお客様に評価いただいた「結果」であり、『目標』です。『目的』ではありません。しかし金融機関や外部から招聘された「プロ経営者」が短期間で「営業利益」を上げるために、それが『目的』化してしまい、企業そのものの「稼ぐ力」を根本的に削いでしまっているケースによく遭遇します。

筆者が主に関与しているファッション業界でも類似のケースに多く遭遇します。【1】店舗スタッフを削減し、本部に権限を過度に集約させ、店舗スタッフの考える力がなくなる【2】人件費を過度に削減し、現場が疲弊し、ブラック企業という風評でさらに人が採用できなくなる【3】差別化の肝である商品企画人員をカットし、外部委託。結果、商品の同質化で売上急降下【4】粗利率が高い商品に絞り、売場から楽しさがなくなり客数激減【5】商品原価はそのままでの単純な商品価格の値上げなど、例を挙げればキリがありません。こうなってしまうと、経営側からは「うちの現場は数字で考えることができない」と憤り、現場側は「この経営層には何を言っても無駄だから」という諦めムードが社内に蔓延するようになり、業績の回復は到底不可能になります。「ブレーキ」はたくさん踏んだけれども、「アクセル」の踏み方が分からないというケースです。

この時に経営コンサルタントが果たす役割は、このような状況になる前に経営層と現場の『翻訳者』になることです。お互いに業績回復という『目的』は同じはずですが、経営層は「数字」のみで語り、現場は「感性」のみで語るため、同じ日本語を話しているように見えて、まったく意思疎通が出来ていません。使い古された言葉ですが、「答えは現場」にあります。苦戦の原因や売上回復の切り口など、現場の店長やスーパーバイザーは長年の経験から自分なりの「答え」を持っているものです。もちろんそれがすべて正解という訳ではありませんが、優秀な現場スタッフへのインタビューや打ち合わせなどが業績回復の突破口になったケースは多々あります。

このように短期で業績を回復させるためには、「外科」的な手術ももちろん必要であり、それが有効なケースも多いのですが、その企業の「稼ぐ力」を削がずに強い体質を作るために「東洋医学」的な中期の会体質改善を見据えた上での「処方箋」が大切です。


経営改革フォーラム2016

佐橋 賢治
株式会社船井総合研究所 チーフ経営コンサルタント
百貨店にて婦人服セレクトショップのバイヤーを経て現職。 「船井流マーケティング」と前職のバイイングで培った「感性」の両方をバランス良く操る小売業経営者の強い味方。生活雑貨店を中心にコンサルティングしており、規模を問わず 単店舗から大手チェーンの企業までと幅広い。「答えは現場にしかない」をモットーに、日々現場を飛び回る。