MENU
×

MENU

戦略的意思決定は正攻法経営の定石を知ることから始まる

企業経営で最も重要なことは的確かつ効果的な戦略的意思決定を下すことができるかです。

市場が右肩上がりの急成長を続けている場合、意思決定が遅れたり、少々間違っていても致命傷にはなりませんが、市場飽和、右肩下がりの激烈な勝ち残り市場の場合、まさに戦略的意思決定を間違えると企業の生死に関わる致命傷を負うことになります。 今、日本は長いデフレ、低成長の時代から脱却し再び活力と成長可能性が高い社会を取り戻すこと、地方、農業分野の活性化などに取り組んでいますが、これは即ち旧弊を正し、思い切った改革に取り組むことでもあります。

家電業界や携帯業界をみればとてもわかりやすいですし、数年後振り返れば、自動車業界や物流業界なども「あの意思決定が転機だった」というようなケースが出てくるのだと思います。経営トップや事業責任者は組織を率いるトップとしてビジョンを明確化した上で未来志向の戦略的意思決定を下さなければ企業の存続・成長も実現できないのです。

戦略的意思決定を下す上でキーポイントとなるのが情報感度です。これは情報収集力とその分析力と言えます。あえて感度と表現しているのは情報化社会においては、昔と違って溢れるほど情報はあるのです。問題は情報源を上手に確保した上で意識をもって物事をとらえないと、どの情報が有益かわからないのです。情報洪水の中から意味ある情報をピックアップすることもとても難しいことなのです。

この情報感度を高める上で重要なことは、その分野に関しての専門家、超プロに情報の取捨選択や解説を行ってもらうこと、さらにその専門家、超プロの物の見方、考え方を理解するということです。情報は見方を変えればまったく違うもの、異なった価値となります。近年では情報洪水におぼれるのではなく上手にその洪水の中から意味をすくいとろうという動きが活発です。

これはビッグデータの活用ということで最近注目されているのですが、ひとつひとつの情報は価値を見出しにくい買い物行動情報であったり、つぶやき情報なのですが、塊でとらえて上手に整理すると様々な活用法が広がってくるわけです。情報を収集したのちに大事になってくるのが分析です。分析によってリアルな実態が浮かびあがってくるわけです。ここで重要になるのは分析の常套手段、フレームワークを知っているかいないかです。

情報データをある条件で並べ替えたり、比率を分析したり、複数の条件をさらにインプットすることによって分類しなおしたりして、見やすく整理をします。ABC分析のようなものから、PPM分析など、切り口によって情報は様々な意味をもっていることがわかってきます。意図して情報を収集しにかかるアンケートのような手法においては、データの収集後、どう分類するかが決めてですから仮説に基づいたり、見てみたい情報が浮かび上がるようにアンケート項目を設計することが重要です。これらの分析はデータマイニングと呼ばれるものですが、豊富な経験を持つアナリストやコンサルタントのアドバイスを受けることによって飛躍的に精度とスピードが高まるものです。

我流ではデータを集めただけで、得るものは少ないというのが実際だと思います。インターネット上には無料で大量の二次情報(誰かによって加工された情報)、三次情報(加工情報をさらにとりまとめ見やすくした情報)があるので、うまく活用すればスキルや経験のない人間でもそれなりの見栄えのある資料は作成できますが、実際のところそのような情報を資料としてつけるだけでは戦略的意思決定を狙う経営トップや事業責任者の心が動いたり、背中を押したりすることは難しいと思います。

すぐれたアナリストやコンサルタントは一次情報(原始データ、ただの情報の集まり)、素材の出所が明確な二次データ(特に政府関係が随時発表するデータなど)を独自の視点で分析しまとめていきます。それは情報をまとめることを目的としているのではなく、戦略的意思決定を引き出そうという意欲や熱意をもって意識してとりまとめていくからです。つまり戦略的意思決定につながる真の分析とは綺麗な資料を作成することではなく、一般的にはあまり知られていない情報をいち早く抉り出すものでなければならないのです。当社でも各種調査依頼がありますが、その依頼元にはとてもしっかりした会社があります。

ノウハウも情報も持っている会社ですが、自分たちだけの考えでは分析に抜けや偏りが出ることも知っており、プロである私たちに調査・分析を依頼してくるわけです。中には一般にはまったく出回っていない情報の調査・分析の依頼もありますが、きちんと準備し設計すれば多くの情報は獲得できるものであるのも事実だと思います。分析データが上がってきた後、いよいよ戦略的意思決定です。

ここでも分析のフレームワークと同等、どういう時にはどう考えればよいのかという知識を持つと持たないとでは大きな違いが出ます。古今東西の経営者が孫子の兵法や数々の軍事戦略上の意思決定をケーススタディとして学んでいたり、コンサルタントの助言を求めるのもそういう部分です。成熟化社会における経営とはライバル会社にいかに市場で競り勝つかということであり、勝利をおさめる以上に負けない経営・負けにくい経営を目指すべきです。

つまりそれは行動するリスクと行動しないリスクを考えることであり、競争優位をA案、B案、C案の中からどう構築するか、どこに重点をおいて優位を作り上げるかということです。優秀な経営企画室メンバーやコンサルタントをかかえている場合、彼らはそのポイントを事前に整理して解説してくれるでしょう。しかしそういうメンバーを自社でかかえていない場合、経営トップや事業責任者自身が勉強し続けなければなりません。古典に始まり普遍的な意味を持つ経営手法を学ばなければならないのです。それが正攻法経営なのです。直感だけで駆け抜ける経営者も世の中には一部存在します。抜群のセンスをもっているわけです。

しかし多くの成功経営者はセンス以上に正しい正攻法の理論を勉強しているのです。そして一つずつ実践してみることにより自信を深め、より大胆な意思決定ができるようになっていくのです。『戦略的意思決定=未来を夢見て社員の行動を促せるリーダーシップ』をとらないとするならば、その人は経営トップ、事業責任者の座を後輩に譲ることが必要な時代なのだと思います。

岡 聡
株式会社船井総合研究所 執行役員 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/流通業(メーカー・卸・小売)向け
入社以来、アパレルメーカーでの企画・製造・小売の総合的な知識に船井流マーケティングをドッキングさせ、ドラッグストア、ホームセンター、商業施設・商店街、食品スーパーなどの小売業の活性化、メーカー戦略、ブランド開発、商品開発、チャネル開発、新業態開発、営業部隊活性化、本社戦略・営業システム開発、マーケティング教育などをトータルに企画・コーディネートし、企業の経営企画をサポートしています。(経済産業大臣登録 中小企業診断士。日本商工会議所・全国商工会連合会 1級販売士。)