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会議を見ればわかるPDCAレベル

仕事柄、多くの企業の会議に出席してきました。役員会議、幹部会議、営業会議、店長会議などです。一言で会議とは言うものの、その中身や運営方法は実はまったく違っています。

一般には【1】先月の報告、【2】今月の予算進捗状況報告、【3】トップの話、【4】その他、【5】各種連絡 というものが多いのではないかと思います。時間は2時間程度の会議から朝から深夜までとさまざまです。

【4】のその他の部分には企業の問題意識が反映されやすく、幹部の講和、責任者・店長の持ち回りでの近況報告、成功事例報告などです。

船井総研がおすすめするのは「成功事例報告」です。実際に船井総研の会議でも頻繁に行っています。

会議は多くの社員が一同に会する数少ない場です。また教育という観点から見ても幹部育成、社員育成に向けた貴重な時間でもあります。経営トップの哲学、会社の理念、ビジョンや方針の共有などをすすめるチャンスでもあるのです。経費もかなり必要になります。テレビ会議での参加も増えてはいますが、実際には全国から店長や拠点長が本社に集合するという形をとっている企業が多く、この場合少なく数十万から数百万円の経費が毎月必要になります。

船井総研でも月2回の会議は東京・大阪の2つの本社に全員参加の形が基本ですし、年一回の幹部研修会は全員が東京のホテルに1泊2日で集合しますから数千万円の経費が一回で必要となります。それだけ経費をかけても企業が会議をやめないのはその重要度が高いと認識されているからだと思います。

これまで多くの経営者に「会議の目的は何か?」とたずねてきました。
その答えは「最近は現場の状況が把握しにくくなった。会議が唯一現場で何が起こっているのか、各店長がどういう状態なのかがつかめる場なのです」というようなものが多かったように思います。
「メールやイントラで情報共有は十分できるのではないですか?」と聞いても「いやいやああいうデータを見ているだけではよくわからないものなのです」と多くの経営者は答えて会議をやめる気配はありません。

確かに実際に顔を合わせてみないとメンバーの体調やメンタル、本音などの状態もつかみにくく統制にも課題が出てきそうです。
日本トップクラスのコンビニエンスストアのチェーンも相当な情報化投資を行ってはいるもののスーパーバイザーを毎週本部に集合させて会議をやっています。そう、会議はとても重要なものなのです。

しかし会議の中身や運営方法などの研究はあまり進んでいないように思います。その原因は【1】経営トップが前職で経験した会議のやりかたを踏襲しただけ、【2】経営トップの情報収集の場としてしか会議を位置づけていない、【3】数字で締め上げ、未達成の場合はトップが直接一喝する場としてしか活用していない というようなことだと思います。そう、会議の重要性は認識しているもののあまりに意識と企画運営レベルが低いのです。そもそも論で言うと“他社がどのような会議を実施しているのかを見たことがない”ということでしょう。

実際に会議の中身と運営レベルはピンからキリまであります。私はよい会議とは(A)参加者のモチベーションが高まり、明日からさらにやっていこうという気になる、(B)経営者、上司・先輩の発言をみてこの会社はこれからも安泰であると安心と自信を獲得できる、(C)参加者から活発に意見や質問が出て、自分自身も触発される、(D)とにかく会議が楽しくて次回が楽しみになりワクワクする というようなものだと思っています。

しかし多くの会社では経営トップのみが発言し「御意」というような御前会議方式、経営トップが「うちの社員は真面目でいいやつばかりなのですが、意見が少なくて発言がありません」を長年繰り返している状態、数字の形だけの報告だけで資料をみればわかるでしょという意味が乏しい会議などが続いているのです。そして、そもそもそういう会議を改革する意識が乏しいのです。

視点を変えてみると企業ではマネジメントサイクルを回るPDCAの重要性が叫ばれます。きちんと計画を立て、やってみて検証し修正するというサイクルです。会議は週1回、月1~2回実施されることが多いわけですから、全社レベルでPDCAを回している場であるといっても過言ではありません。つまり会議がうまく企画運営されていないということは全社レベルでPDCAが回らない原因を会議が産み出しているということなのです。

その原因は先の(A)~(D)を主催者、企画運営担当者が意識していないことにあります。また、その前に年間の階層別の会議スケジュールと運営の中身、誰を主催者にするのかという点に関しても十分に検討されていないことがわかります。企業統治と幹部・社員育成、モチベーションアップなどの企業マネジメント戦略のシナリオのPDCAが乏しいのです。わかりやすく言うと(イ)誰に会議の主催者を経験させてリーダーシップを発揮させるのか、(ロ)効果的に情報収集と情報共有を進めるために何をしたらよいのか、(ハ)一年間で会議を通して何を伝え、何を教育していくのか、(ニ)会議を最重要教育機会と考え、繰り返し何を伝えていくのか というような「P」がないわけです。

さらに多くの企業では十分に会議の準備ができていません。何を話するのかという通知も、事前に目を通しておくべき資料も配布されず、集合してから「今日は何だったけ」という状態であることも多いですし、資料自体も読み手の視点で見やすく、わかりやすく、闘志をかきたてられるようなエキサイティングな資料が準備されていることは少ないのです。会議は企業から社員に対してのプレゼンテーションの場でもあり、社員から会社へ、さらに社員同士へのプレゼンテーションの場でもあります。

ですから経営者都合だけではなく、社員のためになる会議を時間と手間をかけ入念に準備をおこなうべきなのです。私自信も船井総研でもグレートカンパニー化をすすめる中で会議改革に取り組み、あらたな発見と気づきがありました。企業成長にむけたPDCAを会議を通して回していくという視点で会議の見直しに取り組まれることをおすすめします。

岡 聡
株式会社船井総合研究所 執行役員 上席コンサルタント
経営者・幹部様向け/流通業(メーカー・卸・小売)向け
入社以来、アパレルメーカーでの企画・製造・小売の総合的な知識に船井流マーケティングをドッキングさせ、ドラッグストア、ホームセンター、商業施設・商店街、食品スーパーなどの小売業の活性化、メーカー戦略、ブランド開発、商品開発、チャネル開発、新業態開発、営業部隊活性化、本社戦略・営業システム開発、マーケティング教育などをトータルに企画・コーディネートし、企業の経営企画をサポートしています。(経済産業大臣登録 中小企業診断士。日本商工会議所・全国商工会連合会 1級販売士。)