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社会貢献を事業の軸とすること

1.利益を出すことが企業の存続の条件ではない
リーマンショックでは、お金がいつの間にか流通の手段ではなく、商品そのものになっていたことが明らかになりました。お金を増やすために、お金を投入し続けた結果、実態経済とは異なる貨幣経済がつくりだされ、そして取り返しのつかないことになりました。米国のGEのイメルトCEOも「我々が経験しているのは単なる景気サイクルではなく、資本主義そのもののリセット」と語っているように、リーマンショックはお金を中心とした資本主義の考え方を、根本から見直すきっかけとなったといえます。

リーマンショックの前から、エンロンやワールドコムといった全米でも有数の売上規模を誇る企業が粉飾決算で破綻するなど、規模を拡大し、収益を計上し続けることと、企業としてのモラルとの矛盾が少しずつ現れ始めていました。日本でもITベンチャーの企業モラルが話題になったのはこの頃です。

このように、リーマンショックの前と後で、企業のあり方に対する意識が大きく変化しました。リーマンショックよりも前は、企業は利益をあげて、雇用を守り、収益を最大化させることが、社会のためにも、そして株主のためにも重要だったのですが、今では企業は利益をあげるだけでなく、事業活動を通じて社会に貢献しなければ、その価値が認められない存在となりつつあります。

2.企業が大きく変化を始めた理由
実は、企業は収益をあげつづけるだけでなく、社会的な役割を果たしていかなければならないという意識はCSR活動を通じてリーマンショック前から存在していました。
特にアメリカではサーベンス・オークスリー法(SOX法)のように、企業の社会的責任を法的にも定めるようになり、企業は早くから社会的責任を果たすための取り組みを行っていました。CSRの位置づけは、企業の社会的責任であるため、企業の社会貢献活動を広告宣伝の手段とすると逆に低く評価されることになるため、そういった意味では、リーマンショック前から、企業には社会的責任を果たさなければならないという意識は、多くの大企業の中で存在していたといえるでしょう。

それでは、何が変わったのでしょうか?実は、リーマンショック前と後で大きく変わったことは、企業に対する人々の見る目です。リーマンショック前は利益を上げている会社が「いい会社、入社したい会社」でしたが、今は、社会的に貢献をしている会社が、「いい会社、入社したい会社」と思われるようになっています。したがって、たとえ利益を上げていても、その事業自体に社会的に高い価値があると思われない限りは、良い人材が集まりません。

よい人材が集まらない限りは、企業として成長できません。その結果、企業としては事業を社会貢献活動と結び付けなければ、成長を続けることができなくなってきているのです。

3.社会貢献が事業の軸となる
かつて、企業が利益を上げ続けるために最も重要なことは、大量生産に代表される生産プロセスのルーチン化でした。作業を限りなくルーチンに近づければ近づけるほど、作業効率があがります。サービス業もそうです。画一的な手法の展開が企業の生産効率を高めてきました。

しかしながら、そのプロセスがすすんだ結果、今ではルーチン化された作業の多くを機械が行うようになりました。機械の性能が高度になればなるほど、人による作業は複雑になってきます。以前は1%の人材がルーチン以外の業務を行うことができれば、企業として成長することができましたが、これからは、従業員それぞれが自分の頭で考え、行動しなければ、企業として成長することができません。このことを実現するためには多くの企業にとって発想を根本的に変える必要があり、困難を極めます。

しかし、このことをすでに実施している企業も存在しています。例えばあるガス会社様は、自社のガスやガス機器を販売することよりも、地域の省エネルギーを推進することを自社の使命としています。したがって、顧客のところに行き、他のエネルギーがガスよりも省エネ高率が高い場合は、自社の製品よりもそちらを進めます。もちろん、そのようなことばかりをしていたら企業として成り立ちません。

したがって、そのガス会社様は、常に自社が選ばれるように、真剣に自社の製品力の向上に努めています。顧客にとって最もメリットがある製品が自社の製品となるように、製品力と提案力を常に高めている結果、顧客は必然的に、そのガス会社様の製品を選ぶことになります。

この企業様にとっては、自社製品を販売することではなく、省エネルギーに寄与することが、事業の軸であるため、常に、自社の事業も、社内に適合できるように変化を続けています。そして、すべての従業員が、省エネルギーを実現するために、何が最適か、常に考え続けています。自社の製品以外の製品を推奨するなど、非効率なことを行っているように見えますが、実は企業として成長しつづけるために、最も高率のよい活動を行っているのです。

社会貢献を自社の事業の軸とすることにより、そのことに共感する優秀な人材が集まり、従業員はルーチンではなく、自分たちの頭で考えて貢献し、自社の製品は常に社会貢献できるように発展を続け、そして、社会に貢献して顧客からも地域からも感謝されます。このガス会社様だけでなく、どの企業も、このような存在になることができる潜在性を秘めているのです。

4.NPO法人と一緒に取り組むこと
実はここで投稿させていただいた内容の多くは、NPO法人の代表の方から学んだことです。アメリカでは大企業は自社の事業を社会貢献活動と結びつけるために、NPO法人と一緒に活動したり、NPO法人のチャリティーに参加したりしています。そのような活動を通じて大きなヒントを得ているのです。

企業にとって、社会貢献の役割が高まれば高まるほど、こういったNPO法人の役割が高まってきています。日本でも、すでにこういった活動を行っているNPO法人は存在していて、外資企業の日本法人などは、すでに日本のNPO法人と蜜に取り組みを行っています。この部分は、日本企業も見習わなければならない部分であると、大いに感じます。