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ドイツのQCD

10月6日(日)~10月12日(土)までの7日間、船井総合研究所主催のドイツグレートカンパニー視察セミナーが行われた。ドイツ企業の率直な感想は「地味」である。

ドイツに、ユニクロ、H&M、ザラのような世界的なアパレルSPAがあるか?シャネル、グッチ、バーバリーのようなアパレルブランドがあるか?マクドナルド、スターバックスのようなグローバル飲食チェーンがあるか?いずれも、Noである。

しかし、ドイツには、Hidden Championとよばれる、世界的には知られていないが、世界No.1のシェアを持つ企業が約1400社あると言われている。例えば、業務用の高圧洗浄器で世界シェアNo.1のケルヒャー社などは、その典型的な例である。それ以外にも、ドイツには、木工用工具でNo.1とか、塗装装置でNo.1とか、電動ノコギリでNo.1など、ニッチな分野での世界No.1企業がたくさんある。そして、いずれもBtoCの分野ではなく、BtoBの分野でNo.1である。だから、一般消費者には知られておらず、隠れたチャンピオン企業であると言われている。

今回ドイツの企業訪問で感じたのは、QCDの考え方の違いである。言うまでもなく、QCDとは、企業の競争力の3つの要素であるQuality(品質)、Cost(価格)、Delivery(納期)を意味する。しかしドイツ企業の場合、QCDはQuality(品質)、Customer’s(顧客の要求)、Design(デザイン)を追求しているように感じた。Q(品質)を徹底的に追求する姿勢に関しては、日本とドイツは、いずれも世界トップクラスであることは間違いない。そして、Quality意外にも、もちろん、ドイツ企業は、CostとDeliveryも重視しているが、顧客にとっての顕在的なニーズであるCostやDeliveryよりも、顧客にとっての潜在的なニーズにリーチするための要素を重視する姿勢は、日本よりも強いように感じるのである。

特に、ドイツ企業は、不必要に価格を下げることを嫌う。「安い製品が欲しいならば、他社の製品を購入してくれ」という姿勢であるように感じた。その代わりに、価格以外の部分で、顧客にとって何がメリットになるかを徹底的に追求する。例えばケルヒャー社でいえば、高圧洗浄器の握り手。この部分は、通常、洗浄器の機能として最優先に検討される内容ではない。高圧洗浄器に求められる機能は、洗浄であり、握り手ではないからである。しかしながら、ドイツ企業は、こういったところの細部にも徹底的にこだわる。高圧洗浄器を使用するのは、人であり、いかに機械の洗浄力が強くとも、その洗浄器を使う側の人間が支え続けることができなければ、その機能は十分発揮できないからである。そのことを実現するためには、ドイツ企業は、研究開発投資を惜しみなく行い、また必要に応じて大学のような教育機関のリソースも活用して、製品を研ぎ澄ますことを追及する。価格を安くして顧客の満足を得ることよりも、顧客にとって高く販売しても、得られた利益を研究開発投資に振り分けることによってより顧客を満足させる製品を開発させ続けることを自らの使命であると信じているように感じる。

そしてDesign(デザイン)。今回訪問した企業は、すべての企業において、デザインに徹底的にこだわっていた。デザインには、ロゴ、カラー、キャッチフレーズ、すべて含まれているように感じた。「品質は、使ってみないと分からない。でも、デザインは、見ただけで分かる。だからドイツ企業は、デザインにこだわる。」ドイツに訪問するまでは、そんな風に思っていたが、実は、デザインは、企業にとってアイデンティティであり、さらには誇りであり、また企業のイメージを再現するものとして、企業そのものであるということが、今回のドイツ訪問を通じて強く感じることができた。会社と従業員がいかに一体化するか。そこには、従業員の会社に対する誇りが欠かせない。それではその誇りを体現するものは、何か、それは、理念と企業イメージであると思う。そして、企業イメージにとって、デザインは欠かすことができない。つまり、ドイツ企業がデザインを重視するのは、他社との差別化のためだけではなく、自社の一体化のためでもないだろうか?そんな風に感じた。

顧客の潜在ニーズとデザイン。この2つは、日本的経営に取り入れることに大いに価値があるものであると思う。