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中国景気減速の意味

中国の景気減速が著しい。中国はリーマンショック後においても経済成長率8%を維持してきたが、12年4月~6月期は前年同時期比で7.6%とついに8%を割り込んだ。

これまで中国の高い成長率に牽引されて高値を維持してきた銅などの資源価格も低下に向かい、今後の世界経済への影響ははかりしれない。これまでの中央政府主導による拡大政策にとうとうガタがきたのではないかという悲観的な見解も多い。

船井総研で小売・サービス企業の中国ビジネス支援を行っているコンサルタントに聞いた話では、大手コンビニ各社はこれまで中国市場では新規店出店拡大を継続してきたが、既存店強化の方向に向かっているとのこと。既存店の売上低下を新規出店による売上で補う構図が鮮明になってきているそうだ。確かに、本格的な景気減速が訪れたときに、店舗拡大を継続していた企業ほどダメージが大きいことは、バブルの時に経験済みである。

先月末に中国の大手自動車部品メーカー3社と商談してきたが、どの企業も今のテーマは経費削減である。あるブレーキメーカーは昨年訪問した時は、工場を倍にする計画を立てていたが、今年は工場の建設を中止し、逆に人員削減を行っている。

上海嘉定区にある自動車産業が集積する上海国際汽車城の一角にある大手自動車設備・自動車部品メーカーとの商談も、現在22人で回している生産ラインを7人で回せるようにしたいとのことだった。また、上海でWEBマーケティングを行っているWellstar Creationの話では、昨年から中国の検索サイト「百度」で「現場改善」や「自動化」のキーワードが爆発的に増えているとのこと。高騰する人件費が少しずつ生産体制に影響を与え始めている。

今この原稿を書いている現在、中国にいるが、外から言われている程中国の景気減速は感じない。それよりも強く感じるのは、あらゆるところで中国がすごしやすくなってきているという感覚だ。景観・交通マナー・サービス業のホスピタリティ・製品の品質。そういったことに対して、中国の企業および国民の関心が集まりだしている。

例えば、昨年は北京・上海・深?・瀋陽・成都・武漢といった大都市では、大型ショッピングセンターの建設が相次いだ。そこでは、中国に住む人々が価格を気にせずどんどん購買する姿を目にしたが、今年は様子が異なる。落ち着いた雰囲気で優雅なショッピングをする姿は、逆に昨年よりも豊かに見える。先述したコンビニについても、新規出店拡大から既存店強化に舵を切りなおした最近の中国の日系コンビニは、レイアウトも整然として、接客サービスも充実、日本と変わらない雰囲気を感じさせてくれる。

中国市場は、これまでの大量購買・大量生産・大量消費から、より本物を意識するようになっているのではないかと感じる。現場改善や自動化も、今までは生産の拡大を人の投入で補い、無理な拡大を続けてきたのを、しっかりとシステムを構築して、品質も維持しながら生産を効率化していこうという姿勢に変わってきた結果であると思われる。

まさに、20年~30年前の日本の状況である。中国経済の減速は、大きな問題であるが、その一方ですでに同じ経験をしてきた日本企業にとっては一つのチャンスでもある。
マクロな経済環境に左右されることなく、今の中国市場が求めることに対して、自社ができることは何かを探していけば、そこに、商機は存在している。