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華為にみる新興国開拓

2012年、中国華為(HUAWEI)がエリクソンを抜き、通信機器で世界No.1となった。中国生まれの、中国資本企業が、ハイテク通信分野で世界トップになるとは、2000年の中国のWTO加盟時に、誰が予測しただろうか?

毎年売上の10%以上を開発投資に向けており、全従業員の半数近くが技術者である。6万人を超える従業員が、常に最新技術を開発しており、常に世界最先端の製品を市場に提供している。アメリカのインテルやシスコなどシリコンバレー生まれのハイテク企業と、技術開発に対する考え方が非常に似ている。2008年には、国際特許出願件数で世界No.1となり、LTEの基本特許を14も保有している。実は、華為には、欧米系のコンサルティング会社が経営指導にあたっており、華為経営層も創業当初から、欧米大手企業との競争を意識して、広大な研究開発施設や研修棟などは、欧米に負けないインフラを整備するなどして、意識した取り組むを行っている。

日本でも、ドコモ、au、ウィルコム、イーアクセスなどに端末を供給しているが、ブリティッシュ・テレコム、ドイツ・テレコム、シンガポール・テレコムなどの世界の主要な携帯キャリアにも端末を提供しており、「安全保障上の脅威」として市場参入を拒んでいるアメリカ以外では、いずれの市場でも躍進している。

華為の売上は日本円にして3兆円にも達する規模であるが、その売上の75%以上を海外向けが占めている。そして、この華為が、市場シェアを伸ばすことができたのは新興国市場での成功が非常に大きい。華為の副会長は、新興国戦略のためには「各市場特有の社会的かつ経済的環境に合わせ、核となる顧客ニーズを読み取る鋭い洞察力が必要」として、「経営スピードを向上するために、従来のトップダウン式なマネジメント・スタイルを止め、現地市場を知り尽くしている現場スタッフの自由な発想を生かし、権限委譲による経営の現地化を推進してい」る (HUAWEI JAPANホームページより一部抜粋)とのこと。

その現地化に重きをおきた新興国戦略は、他の競合にはできない差別化された取り組みを実現している。例えば、「ネットワーク構築用建物の建設が難しい市場の場合、悪天候にも耐えうる通信機器を屋外」に設置し、「これによって、土木建築コストを半分に削減することができ」る、といった対応(HUAWEI JAPANホームページより一部抜粋)や、電力供給が行き届いていない地域にも太陽光や風力で自ら発電して機能する携帯電話基地局を新興国に提供するなど、そもそも、自社製品が新興国で普及するための課題は何かを明確にして、そのための対策を具体的に実施している。価格と機能で勝負するのではなく、課題とそれに対するソリューションで勝負している。

華為がなぜ新興国で成功したか。その答えは、私は、華為自身が新興国の企業だからだと思う。新興国の課題は、先進国の企業には、なかなか分からない。一方で、新興国で力をつけた新興国の企業は、あらゆる意味で競争力を身に付けており、先進国市場においても脅威になりうる。華為のような、先進国企業に学び、新興国を土俵として、力を身に付けている新興国資本の企業は、まだまだ存在していると思われる。こういった新興国企業が、拡大する新興国市場で力を付けて、グローバル市場でのプレゼンスを発揮してくるだろう。パイの奪い合いとなっている先進国市場で地位を確立し、それから新興国市場に参入しては、すでに、遅いという時代がやってきているかも知れない。先進国の企業は、先進国企業のアドバンテージを生かせる今のうちに、華為のような新興国市場での「現地化」の取り組みを学び、実践していかなければ、グローバル市場で、あらゆる分野で、新興国企業にシェアを奪われる結果になりかねないと思われる。