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チャネルかそれとも商品か

海外市場に取り組むにあたって、顧客を開拓するための販路は最も重要な要素の一つである。

消費財や汎用的な製品の場合、販路はすなわち販売力を指すことがあり、この場合、時として販売力は商品力よりも重要となる。

例えば、中国では、有名百貨店で販売されていることが大きなブランド力になり、
有名百貨店に出店している店舗はたとえ赤字でも、その店舗がフラッグシップ店となり、
他の店舗での売上を増加させて全体での収益を押し上げる効果を持つ。

また、フィリピンやインドネシアは群島国家であり、
陸送ができないため、国内輸送でも、輸送経費が製品価格の10%や20%かかることは珍しくない。

こういった場合は、マニラやジャカルタに在庫を一極集中させ、
個別に各地に輸送するとコストがかさむため、まとめて各地に配送して、各地で在庫をする必要がある。
そのためには、各地で在庫を持ってくれる代理店が必要となる。

こういった在庫をもってくれる代理店網を確立できるかどうかが、
競合他社に対して優位に立てるかどうかの、勝負を分ける場合もある。

ある自動車メーカーは、インドネシアで自動車を普及させるために、
当初ジャカルタで無料のメンテナンストレーニングを行ったとのこと。

そこでトレーニングを受けた人々が、インドネシア各地に散らばり、自動車のメンテナンスサービスを始める。
その結果、インドネシア中でその自動車メーカーのメンテナンスを受けることができるようになり、
その自動車メーカーの自動車が普及するきっかけとなった。

トレーニングを受けた人にとっても、地元に戻って事業を始め、
安定した収益を得ることができるというWin-Winの結果となっている。

販路の構築の際はパートナーの選定が非常に重要なのは言うまでもない。
さらに、そうやって選定したパートナーをどのようにコントロールしていくかといった点も考慮が必要である。

例えば、パートナーが在庫を持つ場合は、パートナーは顧客から代金を受領する前に支払いをすることになるが、
アジア地域では、たとえ商品力がある製品であり、
パートナーにとっても魅力的なビジネスであったとしても、
パートナーはすんなりと支払いはしてこない。

いかにパートナーにインセンティブを与えるか、その仕組みの構築次第で、構築した販路がうまく廻るかどうかを左右することになる。

某大手電動工具メーカーは、期日どおりに支払ったら1%のバックマージンを支払うという方法で、
代理店が期日どおり支払いを行うことのインセンティブを与えている。
こういった地道な工夫が、当該国における圧倒的NO.1のシェアを実現させている。

海外市場開拓にあたって商品力が重要なのは言うまでもない事実である。
その一方で、No.1メーカーは、チャネルの点でも、様々な工夫を行っているということも、知っておく必要がある。