吉崎 誠二(2012/01/23)
本年1回目の記事となる。今年も不動産・住宅関連のお役に立てる情報をお届けしたいと思う。
今年の初めの記事は「2012年、マンションは買い時か?」を考える。
本連載の「2012年は住宅・不動産は買い時か!? 買い時を左右する3つの重要な視点」の内容から、マンションについて深堀りしてみたい。
近々マンションを購入予定の人、これから購入を検討する人、いつかは考えている人、すべての方に読んで損はない情報をお届けしたい。
本連載の「“所有”しない時代だからこそ知っておきたい! 値下がりしない“資産マンション”が持つ6つのプレミアム」では、「値下がりしないマンションの見分け方」について述べた。その中で、「消費マンション」と「資産マンション」という考え方を提示した。
どちらがいいという2分類ではなく、マンション物件をこのように分類することで、自己資金やローン返済などを勘案した購入可能金額物件の中で、最適な物件を見定めることができるという考え方だ。
2012年のマンション市場を考える前に、まずは2011年を振り返ってみよう。
■ 震災や景気減速があったがそれほど市場は落ち込まなかった
2011年前半は、徐々に不動産市場は底を打って上昇局面に入ると思われていた。そんな矢先に東日本大震災が発生し、首都圏を含む東日本各地ではマンションの販売・契約が、数週間、事実上ストップしてしまった。
その後は、首都圏においては正常どおりに戻ったが、各ディベロッパーは新規物件の販売について様子を見定め、販売開始を延期する物件も多く見られた。
しかしながら、発表されるデータを見る限り、新築マンションの月の契約率(当月契約戸数÷当月販売戸数)は、瞬間的な落ち込みはあったものの、1年を通じて70%以上を維持していた。
リーマンショックをまだ引きずっていた2009年の上期以降、首都圏の契約率は70%以上をキープしており、震災の後でさえも大きな落ち込みはなかった。首都圏マンション需要の底堅さを物語る数字といえよう。
加えて、売れ行きが心配されていた湾岸エリアの高層マンションは、販売時期をずらしてネガティブイメージのほとぼりが冷めるのを待ったこと、新たなに震災対応を付加(耐震という観点だけでない)したこと、買いごろ感のある値段を設定したことなどの対策が功を奏し、順調に販売数を伸ばすことに成功した。
やはり、首都圏のマンション需要は強い。
■ 2012年は供給者側も需要者側も活気が戻り市場は賑やかに
まず、供給戸数は昨年よりも増えるだろう。それにはいくつかの要因が考えられる。
震災の余波により、いったんストップしていた企画が再び動き出し、一定期間が経過した。それらの物件が2012年の前半に販売時期を迎える。また、銀行が優良ディベロッパー(すでに、優良でない企業はリーマンショック後におおかた退場しているが)に対して、融資意欲が旺盛な状態にある。
ディベロッパー各社は現在の需要の強さをかなり感じているようなので、どんどん新規案件を企画し、土地を仕入れている。こうした物件が秋ごろから来年にかけて発売されるだろう。
そして、需要者側の勢い(契約率・販売実数)も、昨年より旺盛であることは間違いない。
政府による住宅購入促進策(ローン減税など)は、しばらくこのまま続く見込みなので効き目は持続するだろう。追加的な促進政策(ポイント適用など)も投入される可能性もありそうだ。
さらに、もし消費税の増税が決まれば、この勢いを加速させるかもしれない。先日決まった野田新内閣をマスコミなどは「消費税増税内閣」と呼んでおり、消費税増税の見込みが強まった。
実際の増税時期までは時間があり、需要者としては冷静に対応すべきであるが、販売各社の多くは「消費税増税前に購入を!」と強くうたった販促活動をするだろうから、購入予定者がこうした流れに飲み込まれ、「焦って購入」となる可能性もある。購入を考えている人は、供給側の論理に煽られず、冷静に検討するべきだ。
2012年は供給者側、需要者側の双方に活気が戻り、マンション業界は大いに盛り上がるだろう。
本連載で、タワーマンションの実例を記したように、人気の出るマンションとそうでないマンションの二極化が進むだろう。
都心一等地や主要駅前に建つタワーマンションの人気は落ちず、高値と高人気を保つだろうが、一部の湾岸エリアで、駅からかなり歩く物件などは苦戦するだろう。
全体的には、前回述べたような資産目減りのしにくいマンションの人気が高まり、6つのプnレミアム要素を兼ね備えた物件の中での人気住戸(角・最上階など)では、当選確率の低い(倍率の高い)抽選となるだろう。
より詳しくは、拙著『消費マンションを買う人、資産マンションを選べる人』を参考にしてほしい。
■ 消費税増税の駆け込み購入に注意。「焦らずじっくり」がマンション購入の基本
2012年、都市部(とくに首都圏)マンションの需要はかなり旺盛であると考える。そして、供給戸数も2011年以上となるだろう。
今年供給されるマンションは、金利・資材・土地価格とも、どの条件も有利な状況がそろっており、割安感があるだろう。
需要が旺盛といっても、日本経済に安定感はなく様々な不安要素がある。こうしたことから、各ディベロッパーは売れ残りを警戒して、早期完売を強く意識するだろう。よって、強気の価格は設定せず、お手頃感のある価格で販売されるケースが増えるだろう。
さらに消費税増税は目の前に迫っている。こうしたことから考えると、2012年は購入にプラスの条件がそろっていると予想する。ただし、翌年(2013年)に一気に値上がりすることは考えにくいから「自らの条件に合い、ときめく物件があったら」ということだけは忘れないで欲しい。
◆◇◆ 執筆者プロフィール | |
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吉崎 誠二 (ヨシザキ セイジ) 船井総合研究所 上席コンサルタント 1971年生まれ。立教大学大学院卒(比較組織ネットワーク学専攻)。不動産・住宅関連業界がメインテーマ。電鉄会社・総合不動産企業・ハウスメーカー・マンションデベロッパー・住宅設備メーカーなどの戦略立案から戦術策定を行う。データ分析から導き出す予測を基にしたコンサルテーションを展開。 | |
当レポートは、株式会社船井総合研究所 戦略コンサルティンググループが発行しております。
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