齋藤 健太(2010/09/17)
2003年9月の展開スタートより、7年間毎年売上を増加し続けているリラックマ。そのリラックマのブランド向上の秘密に迫った。
■ リラックマの歴史
2003年9月、デザイナーのコンドウアキ氏によって生まれたリラックマは、当初、文具・雑貨・ぬいぐるみによる展開が量販店や文具店から始まった。
スタート時には、文具・雑貨・ぬいぐるみ等で商品化され、文具店をはじめ雑貨店、量販店で販売が開始されたが、初動はそれほど良い状況とは言えなかった。しかし、一部の店舗では売れる傾向があった。そこで、購入率の高い店舗の理由を調査していくと、大人の女性からの評価が高いことが判明する。
そして、ゲームセンター等でのUFOキャッチャーの景品による展開で、大人の女性と男性にも認知されるようになった。また、2004年4月に絵本の制作・販売を開始し、2004年8月のコリラックマを展開することで、世界観の認知度が高まっていった。
そこで、2003年9月の展開第一弾から大きくターゲットを変え、2004年8月の展開第三弾では、大人の女性向け商品を開発して展開した。その結果、大きく売上が増加することとなる。
このように、大人の女性を中心に、当時の働く女性(OLや主婦)が求めていたリラックスしたいという欲求にリラックマのキャラクターがマッチし、そのような女性を中心にして、それを取り巻く男性や子供たちへの認知度向上も重なったことで、新たな市場を創り出したのである。
2003年9月の第一弾展開からわずか1年の間で今のリラックマの基盤をつくった。
その後、今年の9月から8年目へと突入したが、今まで一度も昨年対比を割っておらず、売上は伸び続けている。これは、サンエックス社の中でも異例であり、キャラクター全体としても極めて珍しい。

■ 一貫した展開方法
リラックマが7年間一度も売上を落とさずに伸び続けてきた最大の理由は、ターゲットの一貫性にある。展開第一弾の時には、従来のキャラクターと同様、子供もターゲットとしていたが、大人の女性からの評価が高いことが判明された第三弾展開から今まで、大人の女性がメインターゲットということを一度も変えずに展開し続けている。
多くの企業が陥りやすい傾向のひとつに、売上を求めて幅広いターゲットに対して展開をしてしまうことで、軸がブレてしまい、結果売上が減少してしまうことがある。しかし、サンエックス社が展開するリラックマは、評価を受けている顧客である大人の女性を見続け、その顧客層に対して一貫して商品展開を行っている。このことが、評価を得続ける(=売上が伸び続ける)ためには非常に重要な要素となる。
また、大々的なプロモーション政策を行わないこともリラックマの大きな特徴であろう。一般的には、メディアとタイアップして、大々的に告知していくことがキャラクター展開の手法であった。
しかし、リラックマでは大々的な告知は一切行っていない。芸能人とのタイアップや、アニメーション、テレビでの展開も行っていない。これも、ターゲットである大人の女性からズレが生じないようにするためである。
また、顧客一人一人に自分だけのリラックマを想像させるために、企業側でキャラクターの性格や声等のイメージを固定するようなことをしていない。これもアニメーションやテレビ放送を実施しなかったり、芸能人とのタイアップをしない理由になっている。
そして、チャネルの展開も気を遣っている。同業界でバッティングが起こらないようライセンシーの許諾も厳しく審査している。
これら全ては、顧客に視点を置いているからこそ実施し続けられていることであると感じる。ターゲットである大人の女性が何を求めているのか、リラックマの何を評価しているのかを追及し、そこに対して一貫して商品を提供し続けていることが継続的な売上の増加へとつながっているのだと思われる。

■ 今後の展開
「キャラクターとは、身近にある存在であるべき」とキャラクター事業部課長の黒田氏は語る。今後、リラックマの次なるステップとして、「大人の女性が常に身につけていてお洒落であり、ステータスのあるブランドへと育成させていく」ということである。
今年8年目となるリラックマ、今後の展開が楽しみである。
◆◇◆ 担当者プロフィール | |
黒田 政和 氏 (クロダ マサカズ) サンエックス株式会社 1969年生まれ。 | |
当レポートは、株式会社船井総合研究所 戦略コンサルティンググループが発行しております。
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