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鈴鹿8耐に学ぶ成功条件

(2010/07/29)

経営戦略・事業戦略

私は前職でモータースポーツの現場裏を多く拝見し、運良くトップクラスのライダーやチーム関係者の方々とお話させていただく機会に恵まれました。(私自身はエンジニアではないですが)

鈴鹿8耐は真夏の祭典レースということで、プロライダーからアマチュアライダーまで大勢のライダーに参加資格が与えられる訳ですが、実際の優勝候補、つまりトップチームは10台に満たない程度といわれています。

トップチームの条件はライダーのフィジカル・テクニック、マシンポテンシャル、エンジニアの技術力などがあげられますが、その他の要素としては下記のようなものが考えられます。

(1)事前テスト・シミュレーション消化能力

チーム=ライダー×マシン×エンジニア(その他ピットマン)が事前テストを介して開発や実践シミュレーションを行い、ベストな体制で本レースに望むことがトップチームの定石である。トップチーム(優勝を目指す要素を兼ね備えたチーム)であればあるほど、ベンチマーク(昨年・事前レースの周回数と周回タイム)を明確にし、それを上回るシミュレーション(周回数×燃費+ピットタイム)でテストを消化する能力が必要である。

(2)チーム内のコミュニケーション力

ライダーはエンジニアに対して擬音語や動作を交えながら、マシンの挙動や必要なフィーリングを伝え、一方、エンジニアがライダーのコメントを受け、走行データと照合し、短期間で改善策をフィードバックすることが必要である。

(3)パフォーマンスを最大限に発揮するモチベーション

路面温度50度を越える中で、8時間後にトップでチェッカーをきるという情熱を維持させることが必要である。

(4)悪条件への対応力

悪条件(天気・路面状況の変化)においても最良の走行と戦略を選択することが必要である。

以上は勝利のフィージビリティの条件ですが、実際に灼熱のサーキットで8時間の走行をトップで駆け抜けるには『神がかり的なパフォーマンス』が発揮されているかのように感じます。『神がかり的なパフォーマンス』とはチームが最高のシミュレーション通り、少なからずとも最高に近い形でパフォーマンスを発揮できている状況ですが、勝者の成功条件を【トップチームの条件+α】と考えたとき、αには当てはまるのは結局のところ“ミスやトラブルを最小限に食い止める冷静な判断力と集中力”といった一見、地味な能力でしょう。

つまり、競争が熾烈になるほど、互いにグッドパフォーマンスを発揮している状況のときこそ、多くの人が持ち合わせているかのような基本的能力が勝利へのキーファクターになり得るのだと感じます。

皆様のビジネスシーンでも同様の事例が多く散在しているかと思いますが、勝ちきれない原因はここにあるのかもしれません。

(※)
鈴鹿8時間耐久レースの略称で『鈴鹿8耐』。80年代~90年代のバイク人口ピーク時に、鈴鹿の町がバイクで溢れかえるほどの人気があり、現在でも一般ライダー達のあいだでは夏の風物詩といった存在である。レースは2~3名のライダーが交代で、路面温度50度を超える真夏のサーキットをスプリントレース並のスピードで8時間走りきる過酷なレースとして知られ、80~90年代は世界の有名ライダー達が名声と栄誉をかけて挑む大会であった。当時よりは海外ライダーが減少したものの、現在でも日本人トップライダー中心に盛り上がりをみせる日本最大のバイクレースである。

(この記事は2008年7月29日に初掲載されたものです。)

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