MENU
×

MENU

お問い合わせ マイページ

“介護コンビニ”ローソン誕生!~ローソンの介護ビジネス参入から見える未来型コンビニのあり方~

■“介護コンビニ”ローソン誕生!
先週、新聞各社の紙面をわかせた、ローソンによる「介護コンビニ」の展開報道。
コンビニと介護。相乗効果が見えそうで見えない、どこかもどかしい両者のコラボレーションが話題を集めたのではないでしょうか?

実は、このローソン、介護コンビニに限らず、“ミニスーパー「ローソンマート」”、“パナソニックと共同出店の「次世代コンビニ」”といった面白い業態を出店し続けています。
このように、常に新しい業態にチャレンジするローソンですが、今回の介護コンビニ出店にはどのような意図があるのでしょうか?今回のコラムではローソンの介護コンビニ出店について考えていきたいと思います。

■今回の出店は複数のトライアル要素(実証実験)が含まれている!
まず、“介護コンビニ”の中身を見てみましょう。ニュースをしっかり読んでみると少しずつローソンの思惑が見えてきます。

「店舗では、昼間はケアマネジャーが常駐し生活支援の助言をしたり、必要に応じて入浴などのデイサービスや有料老人ホームの施設の紹介・あっせんをしたりする。また、ウイズネットの高齢者向け弁当宅配サービスを使い、ローソンの通常の商品も宅配する。介護用品の見本やカタログを置いて注文を受け、店頭でも受け取れるようにする。」

いかがでしょうか?ローソンの介護コンビニ出店の意図が見えてきましたでしょうか?

■筆者が考えるトライアル要素は大きく3つ!
今回のニュースを見て、筆者はローソンのトライアルテーマを3つと考えています。以下、3つのトライアルテーマを簡単に説明していきたいと思います。

【1】介護施設紹介ビジネス
高齢者の増加に伴い、介護施設も増加しています。介護施設の増加は、利用者側にとっての選択肢の広がりを意味します。「より自身にあった施設で過ごしたい!」というニーズが高まっていくのは自然の流れとなります。そこで現在、増加しているのが“介護施設紹介ビジネス”です。利用者側のニーズを確認しながら、利用者様にあったサービスを提供している施設を紹介する、いわゆる「不動産仲介業の介護施設版」と捉えると理解しやすいかもしれません。ローソンは、新たな高齢者向けサービスとして、介護事業者のウイズネットはコンビニを新たなチャネルとして、お互いに試したい打ち手であったのではないかと思います。

【2】宅配ビジネスのトライアル展開
「ウイズネットの高齢者向け弁当宅配サービスを使い、ローソンの通常の商品も宅配する。介護用品の見本やカタログを置いて注文を受け、店頭でも受け取れるようにする。」
実は、ウイズネットは介護施設だけでなく、高齢者向け弁当宅配サービスも行なっています。高齢者向け弁当宅配サービスを簡単に説明すると、主に高齢者を対象に、健康的な食事を(主に夕食)を、毎日ご自宅へ届けるサービスです。

高齢者宅配向け弁当サービスを展開していると、「訪問するならば、他の商品も一緒に届けられないか?=単価アップ」を考えるようになります。おそらく、ウイズネット側としては、お弁当以外の商品を届ける取り組みを試したい、そんな思惑があったのではないでしょうか。

一方でローソン側としては、コンビニ宅配の一つのモデル検証と考えられます。

今回のコラムでは詳しくは書きませんが、コンビニの宅配事業は配送上の課題から、まだまだ上手くいっているとはいい難い状況にあります。おそらく、ローソンは既に個人宅向けの配送網を持っているウイズネットとコラボすることで、コンビニ宅配の一つのモデル作りを行なっているのではないでしょうか。

また、通常の宅配は、保管場所が確保できない家庭へは配送はできません。身近なコンビニが宅配ボックス替わりとなるわけです。そのような背景もあり、店頭での受け取りも可とするのでしょう。

【3】高齢者対応次世代型コンビニのサービス検証
高齢者の増加により、コンビニにも新しい業態への変化が求められることになります。おそらく、ローソンでは、様々な高齢者サービスにチャレンジすることで、来る超高齢化社会への対応に向けた “高齢者対応の次世代型コンビニのあり方”を模索しているのではないでしょうか? 今回の新業態が、具体的にどのようなサービスとなるかは楽しみでなりません。

■大事なのはチャレンジ精神!
ローソンは、介護コンビニの2号店以降はフィットネスクラブ大手のルネサンスと協力し、健康状態に即した運動の指導も計画もあるようです。今回の展開も含め、この“介護コンビニ”が成功するかどうかはまだ分かりません。
ただ、少なくとも言えることは、ローソンは高齢者に対応した次世代モデルに近づいていっているということです。皆様の次世代モデルは何でしょうか?一度、考えてみてはいかがでしょうか?

下田 寛之
高収益化支援部 部長
2007年に青山学院大学経済学部卒業後、株式会社船井総合研究所(現株式会社船井総研ホールディングス)に入社。入社後は事業計画策定、新規事業開発、ビジネスデューデリジェンスなど多岐に渡るテーマのコンサルティングに従事。現在は高収益化支援部にて、社内横断型のコンサルティングサービスを推進。代表的なものとしては「高収益経営フォーラム」、「ビジネスモデル診断」、「組織力診断」、「クラウド人事評価制度~Advance~」が挙げられる。